マガジンのカバー画像

オリジナル小説

7
さごしが執筆したオリジナル小説です。
運営しているクリエイター

2021年8月の記事一覧

カフェ・オ・レが冷める前に

 視界の端にコーヒーメーカーが映った。熱いブラックコーヒーが喉を通る感覚を思い浮かべる。一仕事終えた体には最適だろう。しかしながら、首から下の汗が酷く鬱陶しい。「とりあえず着替えを済ませてからにしよう」そう思い作業服を脱ぎ払っていると、カツリカツリと特徴的な音が聞こえた。耳を澄まさずとも分かった。カジウラの足音だ。

「おつかれさん。仕事には慣れたか?」
「あっ、ヒムラさん。お疲れ様です。まあ、そ

もっとみる