見出し画像

【三題創作怪談】 弐ノ巻 『廃墟のフィギュア』

第2回怪談創作ゲーム

選出テーマ
・フィギュア
・廃墟探索
・魔が差す

特別ルール
なし

YouTube動画
https://youtu.be/-RhnQbl5pY8

木島という男の話。
彼の趣味が廃墟探索だという。

流行り病の渦中だというのにあっちこっちの廃墟に行って探索して帰ってくるということをここ数年でやり始めたそうだ。
なんならそのために中古車も買ったし、いろいろなオカルトアイテムを集めては廃墟に持っていくという熱の入れようだった。

なんでもこの間は一軒家の廃墟に行ってきたと話していた。
ここ十数年で廃墟になったらしく、普通の廃墟よりも比較的新しいし山間部にあって人目もないから案外侵入も楽だったなどと言っていた。

不法侵入なので普通に犯罪なのだが、木島はそんなことお構いなしで入っていったらしい。

そこで今回は手痛い目に遭ったと言っていた。

その廃墟、結構新しいものだから室内も荒らされてはいるものの、ほかの廃墟に比べたら片付いている方らしい。
よくある噂で一家心中があったとか惨殺事件が起こったという話がある。
しかし、実際のところは住宅ローンが払えなくなって夜逃げをしたのが有力とのこと。

その日も廃墟の中をうろうろしていた。
普通の一軒家で一階は玄関、リビング、キッチン、和室があり、二階は夫婦の寝室と子供部屋があった。

それで二階の子供部屋に入ったところそこである物を見つけたらしい。
それは十年くらい前に流行ったヒーローもののフィギュアだった。

木島が大学生くらいの時にやっていたシリーズで結構面白い作品だったのをよく覚えていた。
「懐かしいなあ」なんて思っていたらついつい魔が差してしまって、そのフィギュアを持ち帰ってしまった。
家に帰ってそのフィギュアを綺麗にすると埃を被ってたでけでかなりの美品、関節の可動もちゃんとしていたので気に入ったポーズを取らせて本棚に飾りその日は寝たらしい。

夜明けぐらいの時間に妙な寝苦しさで目が覚めた。
全身が動かない。
要するに金縛りだ。

それで枕元で何かがうごいている気配があった。

その気配は何かを言いながらしきりにジャンプしてるようだった。

金縛りで動けないまま耳をすませて聞いてみたところ、次第にそれが子どもの声だと解ってきて、飛び跳ねている音もしっかり聞こえてきた

「取れない……、取れない……、僕のおもちゃ取れないよお……」

と、その声がはっきり聞こえたところで木島は気を失いました。

気が付いたら朝になっていて、改めて枕元を見て気づいた。
夜に子供がジャンプしていたのは本棚に向かってだったことに。
昨日の夜、廃墟で拾ってきたフィギュアが飾ってあって、本棚の前のフローリングには小さな裸足の足跡がいくつもついていた。
必死に手を伸ばしたような感じで、つま先立ちのものもあった。

木島は怖くなって、急いで床を綺麗にしてその日には拾ってきたフィギュアを廃墟に戻してきたらしい。

その廃墟で何があったかは結局わからなかったみたいですが、ただ一つ言えることは魔が差したとしても廃墟から物を持ってくるのはやめた方がいいということだ。

しかし、木島は懲りてないようで、廃墟探索をやめるつもりは無いと言っていた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?