見出し画像

「これはスゲエ…」と思った本を挙げていくシリーズ①

おつかれさまです、こーすけです!

皆さん読書をしてて「カミナリにうたれたような衝撃」を感じた経験はありますか?
今回は、25年間生きてきて「これは凄い、天才だ」と感じた本を1冊ずつ紹介していきたいと思います!!

今回紹介するのは、

東海林さだお「丸かじりシリーズ」

です!
東海林さんは漫画家であり、エッセイストでもあります。平成12年には紫綬褒章を受章した大御所です。
丸かじりシリーズは「食」にフォーカスしたエッセイです。このエッセイの凄さを3つ紹介します!

ひとつ目は「長寿シリーズであること」です。
週刊朝日にて「あれも食いたいこれも食いたい」という題名で1987年から連載されているものをまとめて刊行したのが「丸かじりシリーズ」。連載34年、単行本にして43冊という超長寿連載なのです。これだけでもすごいのに、テーマは「食」のみ。いかに食べることや食べ物に対する好奇心が旺盛なのかがわかります。

ふたつ目は「文章の分かりやすさ」です。
東海林さんが書く文章は難しい表現がほとんどなく、誰が読んでも分かりやすいことが特徴です。なので、読書が苦手な方にもおススメです。ただ、時事ネタが多少に含まれているのでそこには慣れる必要があるかなと感じます。

みっつめは「切り口の凄さ」です。
丸かじりシリーズ最大の魅力は「そんなところから切り込むの?」という東海林さんの視点です。
特に大好きなのが『ホルモン焼きの丸かじり』の『小松菜に学ぶ』という話。この書きだしの一文が

小松菜はいつもつまらなそうにしている

「えっ」ってなりますよね。
どういうことだと否応なく読者を引き込ませる。
面白いのは「つまらなそうにしている」の部分。「つまらない」だったら東海林さんが小松菜を野菜としてつまらないと判断していることになりますが、「つまらなそうにしている」とすると小松菜に人格がでてきます。小松菜がそんな態度をとっている、というふうになる。ここがうまいな~と思うのです。
それではなぜそう感じるのかを東海林さんはほうれん草を引き合いにしてこう論じます。

ラーメンのなかのほうれん草がある。
こっちはいつだって嬉しそうにラーメンのつゆにひたっている。
やる気まんまん、自らラーメンのスープをじっとり吸いこみ、味をたっぷり含ませて出番にそなえている。
小松菜のほうはどうか。
小松菜はつゆを吸いこまない。
吸いこまないばかりかはじいちゃう。
協力しようという気がないんですね

なかなかの説得力がありますよね。見た目のよく似たほうれん草と比較することで周りとうまく馴染めない小松菜の特徴が際立つ。「言われてみれば確かにそうだよな~」と読者は東海林さんの論に納得しはじめます。
小松菜にこれといった特徴がないことや代表料理がこれといってないことを挙げたのち、

小松菜は小松菜が生業と思っていない。
何かほかの生業があるのではないかと思っている。
だから小松菜業に身が入っていない。
小松菜業にいそしむことができない。

と論じます。
だんだんと盛り上がってきましたね。
ここで、再び他の野菜との比較に入ります。

大根だって本当は大根が生業だと思っていない。
思ってはいないが一生懸命大根業にいそしんでいる
(中略)
そうしないことには食べていけないからだ。
そこんところが小松菜にはよくわかっていない。

小松菜と違って大根は大根の仕事をきっちりこなしている。他の野菜だってそうだ、ということを述べたのち、こう締めくくります。

われわれが小松菜から学ぶべきことは多い

最初にこれを読んだときの衝撃は忘れられません
東海林さんは小松菜から人間社会を論じていたのです。
「こんな奴社会に結構いるよね」と小松菜を擬人化させていたのです。
「天才かよ」と思いました。
この話は文庫本にしてわずか6ページ。少ないページ数で読者をアッといわせる文章力こそが東海林さんの凄さなのです。


以上が今回の内容です。
東海林さんのエッセイをコンプリートするのが僕の夢です。
駄文失礼しました。


この記事が参加している募集

#読書感想文

191,797件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?