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これはスゲエ…と思った本を挙げていくシリーズ②

おつかれさまです、こーすけです!!

今まで読んだ本のなかで感動した、何度も読み返したものを紹介する第2弾です。
今回紹介するのは、

星野道夫『旅をする木』

です!

星野さんはアラスカを拠点に活動した写真家で、1996年に不慮の事故で亡くなっています。
本書はエッセイで、アラスカでの生活や自然や人々がおおらかに書かれています。

本書に難解なワードは一切ありません。なので敷居は低く、読書が苦手な人でもさらっと読むことが出来ます。
また、本書には星野さんが観たこと聞いたこと感じたこと、この3つしか書かれていません。誇張したり大きくみせるような表現もありません。だからこそ、星野さんの文章は静かで具体的で説得力があります。

本書の魅力は、星野さんが観てきた風景を追体験できることだと思います。どんな場所でも、ページをめくればそこはアラスカの世界。
アラスカの自然の雄大さや人々の交流が、僕たちの目の前で起こっているかのような錯覚を受けます。

そして、本書は我々が社会で生きるなかで徐々に失っていってしまった感性を呼び起こします。
星野さんは冒頭でこのように述べています。

人間の気持ちとは可笑しいものですね。どうしようもなく些細な日常に左右されている一方で、風の感触や初夏の気配で、こんなにも豊かになれるのですから。人の心は、深くて、そして不思議なほど浅いのだと思います。きっと、その浅さで、人は生きてゆけるのでしょう。

「心の浅さ」を肯定的にとらえる星野さんの感性に感動し、ハッとさせられたことを今でも覚えています。
また、アラスカの人々の感性や言動も、僕たちの心を動かします。

寒いことが、人の気持ちを暖めるんだ。離れていることが、人と人とを近づけるんだ

これは星野さんのアラスカの友人の言葉です。厳しい自然に直面しながらも、それを受け入れて生活するからこそ、このような言葉がサラッと出てくるのだと思います。仮に僕が同じことを言っても、全く説得力の無いものになってしまうでしょうね。

今まで読んできた本のなかから1冊を選べ、と言われたら真っ先に本書を選びます。そのくらい、自分の考え方やものの見方に影響を与えた本です。
星野さんのような、優しい視点を持ちたい。そして、いつかはアラスカを訪れたい。ページをめくるたびにその想いは深まるばかりです。

最後に、本書の中で特に好きな話「もうひとつの時間」の朗読を載せて、締めようと思います。読んでいただき、ありがとうございました。


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