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動物愛護というけれど


 最近農園にサルが出没して大騒ぎになっています。地域の方々の畑でも被害が頻発し、市の鳥獣害対策の部署にお願いしてサル対策の講習会を開き、追い払い用の音響花火の配布をしてもらいました。打ち上げると3連発で大音響が鳴り響きます。ただ、最初は効き目があってもすぐに慣れてしまい効果も限定的だと聞きます。先日、長野県安曇野市に住む知人に電話した際この話題になり、安曇野でもかねてからサルの被害が甚大で、サル追い払い隊を編成して対策にあたっているそうです。花火も使っていますがすぐ慣れてしまってほとんど用をなさないと言っていました。
 
 ニホンザルは北海道を除く全国各地に生存しています。20年ほど前の一時期、私は山岳自然保護の関係で屋久島通いをしていたことがありますが、屋久島の森の中でシカの背中に乗って遊んでいるサルをよく見かけました。当時はなんて可愛いんだろうと思っていましたが、立場が変わると見る目も変わってきます。
 昨年は6月末にヒヨドリの大群が押し寄せ、熟したブルーベリーが全滅の憂き目に遭いました。その前には、植えたばかりのヘーゼルナッツの苗木を全部シカにやられるという事件がありました。今度はサルです。
 動物愛護とか生物多様性とかいいますが、それはそれとして、鳥獣害問題は農を業とする者にとってきれいごとでは済まされない死活の問題です。
 
 現在私たちはブルーベリーをシカやイノシシから守るため周囲に電気柵を巡らせています。昨年ヒヨドリに痛い目にあわされた教訓から今年はネット張りもしました。私たちの場合はソーラーパネルの下での栽培なので、架台の柱や梁が邪魔してネット張りも大変な作業になりました。設置作業が大変なだけでなく、ネットの隙間からヒヨドリが進入するとか、編み目が粗すぎてスズメが入ってしまうとか、安価なネットだと耐久性に乏しいなど、今後解決しなければならないいろいろな問題は残りましたが、とりあえず昨年のような大被害には遭わないで済みました。

 さてサルはどうか。類人猿の言葉が示すように他の動物と違って知恵者で集団で社会生活を営むことから、対策も一筋縄にはいきません。周囲の樹木や電柱、電線などを伝って侵入するでしょうから、ただ単に高い柵を巡らすくらいでは対策になりません。
 ニホンザルは1947年の法改正で狩猟獣から除外され、捕獲する場合は「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」に基づく許可が必要です。いろいろ手を尽くしたがダメで「このままでは農業が成り立たなくなる」ということで地域の行政を通して県のお許しを得てはじめて捕獲削減が実施できるということですから、それ自体並大抵ではありません。
 さてさて、どうしたらいいのでしょう。サルと知恵比べですね。
 
 来春には、生活クラブとの共同事業で今の農園に隣接する場所に現在と同規模のソーラーシェアリング設備を建設して、パネルの下部でブドウやキウイを栽培することを計画していますが、それを実現するにはイノシシ、シカ、サル、鳥の対策が不可欠です。ただ、いくらお金をかけてもいいわけではなく、あくまで事業性を持った形で実現することが求められます。
 
 必要は発明の母と言われます。大難題ですが、何としても「ヨシ、これだ!」と言える対策を打ち立てたいものです。皆さん、何かいい方策はないでしょうか。どんな些細なことでもいいので知恵をお貸しください。

(2024.8.17 山川陽一)
 

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