見出し画像

ゴジラが7年ぶりに日本に上陸しました。
その名は「ゴジラ マイナスワン」。

敗戦で全てを失い、ゼロの日本に襲い掛かるゴジラ。圧倒的な破壊力で、ゼロからマイナスへ突き落される。敗戦後の日本には戦える軍隊もなく、アメリカも動かない。立ち上がったのは元軍人を中心とする民間人。主人公は元特攻隊員で、戦場から逃げ出したトラウマを抱え生きています。そんな人々がゴジラに立ち向かい、人生を再生する物語(※個人的感想です)。

ところでゴジラとは何なんでしょう。荒ぶる神。ある日突然襲い掛かる災難。個人ではどうしようもない、圧倒的な力。逃げ惑うしかない日々。世界を見渡せば、ウクライナや中東で今まさにゴジラが暴れまくっています。

私たちさがみこファームは、2011年の東日本大震災にそのルーツがあります。あの日、襲い来る津波と福島第1原発のメルトダウン、まるで悪夢のようでした。そしてそれから始まった計画停電。それまで当たり前に使えていた電気が使えなくなって初めて、コンセントの先がどこに繋がっているか知らないことに気づきました。自分たちの使っているエネルギーを電力会社や国に任せっぱなしでいいのだろうか、自分たちにできる事はないだろうか、そのような思いから太陽光発電所を開発する事業を立ち上げました。また、地方自治体の脱炭素化計画の支援や農家のRE100化支援などを行う中で、日本の農業の現状を知るにつれ、食も自分たちの手で少しでも取り戻したい、という思いで「食」と「エネルギー」を生み出すソーラーシェアリング事業をはじめました。

現在、さがみこベリーガーデンには4基の発電所があります。これらの発電所で作った電気はFIT(固定価格買取制度)で電力会社に全量売電しています。「この農園で使っている電気は、ここで作っているいるのですよね?」とよく聞かれます。物理的に言えば、発電した電気は一番近い消費地である農園で使われています。しかしFITで売電しているため、制度上は発電した電気は電力会社へ売り、使う分は改めて電力会社から購入するので、発電した電気を使っているとは言えず、忸怩たる説明をせざるを得ませんでした。

しかし、農園で使う電気は自分たちで賄っています!と言える日が近づいています。

年明け早々に、新しい発電所を2基建設します。発電した電気は、FITは使わず、電力小売会社である生活クラブエナジーを経由して、生活クラブ神奈川の事業所に供給します。また、そのうち1基の発電所の電気は、さがみこベリーガーデンの中で消費し、余剰分を生活クラブ神奈川の配送センターへ供給します。自分たちの使う電気は自分たちで、そして神奈川県内で発電した電気は神奈川県内で消費。いわゆる”電気の地産地消”を実現できます。

ソーラーシェアリングは、食糧の生産基盤の維持とエネルギーの生産に効果的な手法であり、更に広めていきたいと思っています。一方、農業をないがしろにした不適切な案件や、営農に適した設備の設計手法、煩雑な許認可手続き、ファイナンスの難しさ等、多くの課題を抱えています。

今回建設する発電所は小規模なものですが、規模の大小にかかわらず直面する課題は共通のものです。それら一つ一つ乗り越えていくことで、ソーラーシェアリングのひとつのモデルを作り上げていきたいと考えています。

農業の方も、ブルーベリーだけでは今後の広がりに限界があるので、新しい作物を栽培する予定です。とは言え、農業は知れば知るほど奥深い世界。覚悟を決めてチャレンジしていきます。

私たちの事業は些細なものですが、自分たちは自分たちになりにゴジラに立ち向かっていきます。
(2023/12/9 小林孝)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?