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さがみこファームができるまで(3)「何をどう育てるか?」

こんにちは!さがみこファーム代表の山川です。
今回は、「何をどう育てるか?」について書こうと思います。

これは数か月間かけて何種類も検討しました。

ソーラーシェアリングの生みの親である長島彬さんによると、植物は光を受けて成長しますが、ある所までいくと光の量が増えても成長度合が変らなくなる点があり、これを「光飽和点」と呼ぶそうです。光飽和点は植物によって異なります。日向を好む植物、半日陰を好む植物、日陰を好む植物など、植物にはそれぞれ個性がありますよね。感覚的にも理解できるのではないかと思います。

ソーラーシェアリングは植物のこの特性を利用して、植物の光飽和点に合わせてパネルで一定割合の太陽光を遮光し、地面と空中で農地空間を立体的に活用することで、農業と発電の共存を図るというものです。とても賢い考え方だと思いませんか?

キクラゲやシイタケなどのキノコ類、サカキやシキミ、ニンニク、イモ類、キウイ、、、様々なものを検討する中で注目したのが「ブルーベリー」です。

ブルーベリーは半陰性でソーラーシェアリングと相性が良く、全国でも既に事例がありました。私たちは相模原市では初めての事例でしたので、他地域で実績のある作物の方が行政や農業委員会の理解も得やすいだろうということ、摘み取り農園などとの相性が良く、キャンパーが多く訪れる地の利を生かせそうだということから、より詳細に検討を始めました。すると、日本ではそこまで馴染みがないものの、世界では200種類以上の品種があり市場が伸びていること、アントシアニンが豊富で健康食品としても注目されていること、大型機械が入らないため投資が少なく小規模からでもできること等々、多くのメリットがありました。

検討の過程でモデルにしたのが岡崎にある「ブルーベリーファームおかざき」さんです。オーナーの畔柳さんは元大手メーカー勤務で、脱サラしてブルーベリー観光農園を始め、大成功を収めました。ここでは、ポット養液栽培という手法を採用されています。ポットに入れた苗に養分と水を混ぜたものを定期的に供給するもので、安定して早く育つのが特徴です。イチゴの水耕栽培のようなものですね。私たちは農業分野では素人ですが、メーカーの生産管理などの経験のあるスタッフがおり、工業的な手法を取り入れた農業は自社の強みも生きるだろうと思いました。

そして何より、「自分が育ててみたい!」と思えるものを育てたいと思いました。

農業は基本的に「反収●●円」という形で栽培品目毎におよその収量と単価の目安が決まっています。収入を増やそうとすると、単価を上げるか、面積当たりの収量を増やすか、栽培面積を増やすかになりますが、どれもそう簡単ではありません。

しかし、上記と異なる軸で収益化を図るのが、「電力」や「観光」との掛け合わせです。私たちは更にそこに体験プログラムなども組み合わせ、来園者が「また来たい!」と思えるような仕掛けをこれからたくさん作っていこうと思っていますが、それはまた別の機会に書こうと思います。

・・・そんなことで、県内初となる「ソーラーシェアリング型のブルーベリー観光農園」に取り組むことになりました(つづく)

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