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敵が現れました。あとからあとから、大量に押し寄せてきます。体にはもじゃもじゃの毛が生えていて、大きいものは4センチ。小さいものは2センチ。ブルーベリーの葉っぱや花をむしゃむしゃと食べる困ったやつ。さて、なんだと思いますか?

正解はアメリカシロヒトリという蛾の幼虫です。どうやら隣の森の木からやってくるようです。その木を見ると葉っぱがほとんどない!「ここはそろそろ食糧難になりそうだ」ということで、ブルーベリー畑に来たようです。

でも、不思議です。幼虫によって、もともといた木の見切りの早さが全然違うのです。食べつくされそうな木にそのままいるもの。早めに見切り、地面に降り、数十メートル先まで移動するもの。すごいやつは100m先のブルーベリーにまで到達しています。100m移動する間に、多くのブルーベリーの苗木はあるにもかかわらず、です。あえてそこを通過し、先へ先へ移動するのです。例えて言うと、腹ペコのギャル曽根が、横浜中華街を通過するようなものです。途中には、食べ放題のレストランのみならず、肉まんや、タピオカ、水ギョーザなどのお店が並んでいるのに、それを無視して歩き続ける。ほんとうに不思議です。

おそらく、一匹のガから生まれた幼虫なのにこれだけの違いがあるのには、違いがある方が、生き残る確率が高くなるからと思います。産まれた場所にとどまり食べ続けるものは、ある程度の食料は確保されます。ただ、他の幼虫たちと固まってそこにいるので、鳥など見つかり、やられやすいというリスクはあります。たくさん歩いてから食べ物を探すタイプの幼虫は、到達した場所で食糧を独り占めできます。ただ、その先に食料はないかもしれない。木から降りて地面を歩くということにもリスクがあります。地面にいる虫に食べられるかもしれない。溝に落ちるかもしれない。

アメリカシロヒトリにとって、その場にとどまる幼虫も、めちゃくちゃ歩く幼虫も、それぞれいたほうがいいのです。いろいろいたほうが、いろいろな環境であっても生き残る幼虫がいて、遺伝子を次世代に残すことができるのです。

さがみこファームはどっちのタイプの幼虫だろうか。きっと、リスクを取って歩き続け、新天地を見つける幼虫だなと思いました。そうありたいなと思いました。

雨の中、新天地を目指す幼虫。

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いそっぺ

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