アクアフォームの充填作業が始まりました
東京では桜も開花し、春本番を迎えました。ここ前戸の里でも、草木が勢いよく芽吹き始めています。
SAGAMICO BERRY GARDENでは、今までのブルーベリー550本に加え、この春から新たに575本を育てていきます。今週、その苗木が入荷される予定です。苗木が入荷されたら、ポットに植付け、でもその前に、大事な作業があります。アクアフォームの充填です。
私たちは、ブルーベリーをポットに植付け、養液を点滴して育てていますが、ポットには土ではなく、アクアフォームという吸水スポンジを使っています。
これが入荷したアクアフォームです。1袋100リットルですが、片手で持てます。
これをポットに入れていくのですが、アクアフォームの粉が舞い散り、眼に入ると非常に痛いのです。去年は随分苦労しました。しかし、今年は違います。秘密兵器!があります。名付けて「舞わないくん一号」。
ポットの底を切り取り、逆さにしたものです。これをポットに被せ、クリップで固定します。そして上から水をかけながら、アクアフォームを入れていくと、粉塵が激減し、周りにもこぼれ落ちがなくなり作業が非常に楽になりました。
この作業を2班に分けて行いましたが、充填できたのは1日かけて100鉢でした。残りは何鉢?間に合うのか?やばいぞ!助けてぇ~
弱音はここまでにして、「なぜアクアフォームを使うのか」ということについてお話をしたいと思います。
アクアフォームとは、フェノール樹脂に有機酸とノンフロン系発泡剤を加えて作られ、軽量で、吸水性・保水性・通気性に優れているため、ブルーベリーの栽培に広く使われています。アクアフォームの粒は、ほぼ体積分の水を吸収し、また、粒と粒の間には常に豊富な空気を含んでいます。さらにその形状はかん水や雨水にうたれても、ほとんど崩れないため、土壌でいうときわめて良好な団粒構造が半永久的に持続することになります。かん水後鉢底から水がしたたり落ちなくなった時点での保水量は、通常の育苗土が60g/100gであるのに対して、1200g/100g(体積比で50.9%)にもなります。これほど水を持つ土は、土中に含まれる空気の量が少ないために根腐を起こすというのがこれまでの常識でしたが、粒状アクアフォームはこれほど水を含んだ状態でも、体積比で42.9%(乾燥時気相率/最大容水量%)の空気層を持ちます。参考までに通常の用上では、乾燥時においても、気相率は15%をわずかに上回る程度しかありません。
また、乾燥時の比重は0.02前後のため、非常に軽く、輸送性や利用性がきわめて良いわけです。かん水数分後の気相率も40%以上と画期的に高いため、液相率が約50%と多量の水を含んでいても過湿にならず、根腐も起こりにくい特性があります。したがって、植物の生育に非常に重要な根毛の発達が良くなり、生育が旺盛となります。さらに透水性がきわめて良いために、かん水管理が非常に楽になります。
安全性はどうでしょうか。
原料であるフェノール樹脂は、最も古い合成樹脂で、フライパンの取手やお椀などの什器に使われており、無害といわれています。メーカーのHPでも、「万一、お子様が間違ってアクアフォームを口にしてしまった場合でも毒性はありませんので問題ありません。無理に吐かせずに食べ物のカスと共に出てくるのを待ってください。」と書かれています。
また、焼却処分した場合もダイオキシン等の公害の発生が無く、大気汚染条例の基準もクリアーしています。
(農業ビジネス1998年12月1日「地下部環境を考える(2)」嶋本久二 より引用)
私たちは農業の経験はなく、土作りや栽培のノウハウは持ち合わせていません。しかし、アクアフォームと養液栽培システムを取り入れることで、素人でも農業にチャレンジできると考えました。また、アクアフォームは5~10年程度使用できるので、経済性にも優れています。見方を変えれば、自然界には長く残留することを意味します。無害とはいえ、環境に対して良いわけがありません。最後まで使い切る、環境中に放出させない、最後はきちんと処分することが、使う側の責務だと考えています。
(2021/3/21 小林孝)
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