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『氷室冴子とその時代』詳細目次紹介

9月30日発売の『氷室冴子とその時代』(小鳥遊書房)の詳細目次を公開します。附録の「少女マンガの可能性」は氷室冴子が大学時代に執筆した少女マンガ論で、萩尾望都『トーマの心臓』を取りあげています。本書が初公開のテキストです。

以下出版社のHP紹介より
「少女小説家」としての姿だけではない、氷室冴子の多彩な作家像、再発見。

少女小説の文脈で語られることが多かった氷室冴子を、コバルト文庫以外の小説やエッセイを含めた幅広い作家活動にもスポットを当て、同時代の文化・社会とともに捉え直す。雑誌や新聞記事など貴重な資料からも見えてくる新たな氷室冴子像とは──

★本書初公開★
氷室冴子が学生時代に執筆した少女マンガ論「少女マンガの可能性」の手書き原稿収録!

『氷室冴子とその時代』目次

はじめに 

第1章 氷室冴子以前ーー文学と少女マンガの揺籃期 
 幼年期の少女マンガ体験
 文学少女としての目覚め
 藤女子大学進学と女子校文化との出会い
 碓井小恵子時代の創作 
 「モギ店ハンジョー記」と「少女マンガの可能性」 

第2章 作家デビューから『クララ白書』まで 
  『小説ジュニア』とジュニア小説の歴史
  新人賞への応募と佳作受賞
  デビュー作「さようならアルルカン」
  『小説ジュニア』にみる氷室冴子最初期作品
  『さようならアルルカン』と『白い少女たち』
  実家からの独立と共同生活 
  『クララ白書』ーー少女たちの解放区
  『クララ白書』と少女マンガ
 雑誌『宝島』の書評 

第3章 マンガ原作の仕事と初連載『雑居時代』 
  演劇を少女マンガのモチーフに
 『ライジング!』の連載
  宝塚への移住とファン活動
  バウホールを描くこと
  藤田和子との共同作業
 『小説ジュニア』の初連載『雑居時代』
 『雑居時代』人気と倉橋数子というキャラクター 

第4章 一九八三年・八四年にみる多様な作品群 
 『恋する女たち』ーーガールズトークのリアリティ 
 『ざ・ちぇんじ!』ーー少女小説としての「改変」
 『シンデレラ迷宮』ーー少女の目覚めと心の王国 
 『蕨ヶ丘物語』ーーローカルコメディの世界
 『少女小説家は死なない!』ーーパロディにしのばせた少女小説の多様性 
 『古事記』への関心と『ヤマトタケル』

第5章 『なんて素敵にジャパネスク』と少女小説ブーム 
  結婚をめぐる対立から生まれた『なんて素敵にジャパネスク』
 『なんて素敵にジャパネスク』シリーズの構成
  初夜から東宮廃位問題へ
  氷室冴子人気と『ジャパネスク』受容
  少女小説ブームと氷室冴子
  同時代における氷室冴子評価
  少女小説マーケットの拡大

第6章 男の子の行方ーー氷室冴子の少年主人公小説
 『なぎさボーイ』シリーズと複数視点の描写
  クリエイターにみる氷室冴子作品の影響
 『北里マドンナ』ーー「少女」から離れて
  氷室冴子の仕事道具
   『冬のディーン 夏のナタリー』ーープレ『海がきこえる』としての模索 

第7章 少女小説から離れてーーエッセイと一般小説の仕事 
  氷室冴子、東京へ
  エッセイと一般小説の連載状況
  氷室冴子の一般小説
 『ターンーー三番目に好き』ーー大人の恋愛小説への挑戦
 『いもうと物語』ーー幼年期の祝福
  初エッセイ集『冴子の東京物語』
 『プレイバックへようこそ』ーー過去への視線と世代の相対化
  出版業界のなかの「女」ーー氷室冴子とフェミニズム 
 『いっぱしの女』ーー「女」にまつわるエッセイ集
 『冴子の母娘草』ーー母と娘の闘い
  家庭小説の復刊ーー角川文庫マイディアストーリーとブックエッセイ
 『ホンの幸せ』ーー書物へのまなざし

第8章 イメージから生まれた物語ーー『海がきこえる』
  高知との出会い 
 『海がきこえる』のストーリー
  情景の見える文体へ
 『海がきこえる』と挿絵の世界
 『海がきこえる』のヴァリアント
 『アニメージュ』連載版『海がきこえる』
 『涼宮ハルヒ』シリーズのなかの『海がきこえる』
  アニメーション版『海がきこえる』
  続編『海がきこえるⅡーーアイがあるから

第9章 古代への情熱ーー『銀の海 金の大地』
  九〇年代とファンタジーの潮流
 『銀の海 金の大地』連載まで
 『銀の海 金の大地』の世界
  挿絵と古代の文化
 『銀の海 金の大地』にみる古代の風俗描写
  少女小説の限界へーー『銀金』にみるヴァイオレンス描写
  まぼろしの「佐保彦の章」 

第10章 氷室冴子は終わらないーー九〇年代後半以降から 
  旧作のアップデート
 『クララ白書』のリメイク
  新装版『なんて素敵にジャパネスク』
  大人の恋愛小説執筆をめぐる模索
  休筆期のことーー氷室冴子の二〇〇〇年代
  作家としての再始動ーー「月の輝く夜に」の加筆と氷室の「現役感」
  闘病期
  氷室冴子の死とメディア報道
  氷室冴子受容の「断絶」
  継承へ向けて
  おわりにーー氷室冴子像のアップデートへ 

あとがき 心に金の砂をもつーー氷室冴子と私 

附録ーー「少女マンガの可能性」 


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