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【僕が病院で気づいたこと】オプソ内服液(モルヒネみたいなやつ)は、僕には、ちょっと効き過ぎるよ(-_-;)

 今朝は、吐き気と痛み止めの薬のためか、泥沼にはまったように身動きが出来ない。

 僕は、中咽頭癌の治療のために、抗癌剤と放射線治療を受けていた。抗がん剤治療は、5日間入院する。その後、隔週で計3回行われる予定だ。

 一般的なことだが、抗がん剤は、吐き気が酷いという話しを聞いていた。

 心配性な僕は、治療前に看護師さんに「もし、吐きそうになったらどうすれば良いですか?」と何度も聞いた。しかし、意外と答えは簡単だった。

 「もし、吐きそうだったら、このナイロン袋に吐いちゃってください。ナースコールしてくれれば、片づけに来ますからね」

 「そうですか、分かりました」とは言ってみたものの、何だか不安でしょうがない。でも吐き気止めの薬のおかげで、その不安は、現実のこととはならなかった。

 事前に看護師さんからもらったナイロン袋は、お守りのように枕元に大切に置いてある。


 放射線治療も35回予定され、今回は15回を過ぎていた。今は、放射線治療の副作用で、話すことも、食事も、さらに水さえ飲めない状態だ。事前に用意した胃瘻のお世話になっている。

 ちょっとした水分補給まで胃瘻のお世話になっているのだ。トホホ・・・

 さらに喉や舌、顎等の痛みが強くなり、解熱鎮痛薬のカロナールでも痛みは軽減されなかった。カロナールは、500mgを一日3回服用していた。主治医に痛みの事を伝えると「オプソ内服液5mg」いう薬をすすめられた。

オプソ内服液5mg

 この薬の説明書には、「通常、成人にはモルヒネ塩酸塩水和物として1日30~120mgを1日6回に分割し経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する」と書かれていた。

 僕は、モルヒネと書かれていてちょっと不安になった。モルヒネってアヘンから生成される麻薬性鎮痛薬だよな・・・

 水も飲むことが出来ないので、飲み薬も胃瘻から入れる。20mlサイズのプラスチックのコップにお湯を少し入れて、薬の錠剤を溶かす。それをシリンダに吸い込んで胃瘻から入れる。なんとまぁ、悲しい姿だ。

 女房は、看護師だからこんな姿は見慣れているだろうが、子供達には、ちょっと見せられない姿だな。

 抗がん剤による吐き気止めの薬のひとつに「オランザピンOD錠5mg」という薬があった。 薬の説明書には、寝る前に飲むように書かれていたが、いゃ〜、この薬を飲むと極度に眠くなる。

 入院しているベッドの上だから、眠たくなったら寝れば良いのだが、ずっしりとした怠さが伴うから結構辛い。

 今夜は、喉の痛みが辛いので、主治医から追加で出してもらった「オプソ内服液5mg」も飲んで寝ることにした。いや正確には、飲むのでは無く、胃瘻から入れたのだが・・・

 「オプソ内服液5mg」は、劇薬扱いなのか、看護師さんが一包ずつ持って来る。「では、このお薬をお飲みください。私、ここで飲むのを確認していますね」

「えっ?」

 僕は、胃瘻を使って薬を入れているところを見られるのが、恥ずかしいし、嫌だった。まぁ、看護師さんだからしょうがないかなと思って、ごそごそと胃瘻の準備をして「オプソ内服液5mg」を胃の中に注入した。

 看護師さんは、終わるまでじっと無言で立っている。それがルールなのかはわからないが、目の前に無言で立たれていると、やっぱり緊張してしまう。

若くて可愛い看護師さんだから、余計に緊張する。

 いつもやっている胃瘻もやりづらくなる。できたら少しは、声かけてもらったり、手伝ってもったりすると気が楽になるのだけどな・・・

 そんな僕の気持ちも知らずにか、彼女は、じっと無言で立っている。そして「オプソ内服液5mg」の空き袋を大事そうに袋に入れて持ち帰った。

 僕は、緊張しながら胃瘻を終えて、チューブ類を病室の洗面台で洗い、ベッド脇の点滴ポールに引っかけて干した。

 正直ホッとしたよ。さあ、本でも読みながら寝るとするか・・・
 空調の効いた病室のベッドで横になって読みかけの本に手を伸ばす。ここが病室でなければ快適な空間だと思うのだが・・・

 薬は、すぐ効いてきた。本を10ページも読まないうちに、目が閉じてくる。いつの間にか暗闇になった。


 朝は、毎日6時に起こされて、体重測定、血圧測定と忙しい。いつもなら、僕は、6時前に目が覚めてしまって看護師さんが来るのを待っていた。

 しかし、今朝は看護師さんから起こされた。「太島さ〜ん、朝ですよ〜。検温お願いしますね〜」

今朝は、目が開かない。体が重い。

 そうか、薬が効きすぎて起きられないのだ・・・
暫くして、ようやく自分がどういう状態なのかが理解できた。何とか目は開いたが、体を起こすのが辛い。体がド〜ンと重い。

 脇にあるベッド操作リモコンのボタンを押して、ようやく体を起こす。フゥ〜と溜息をつき、数回深呼吸をする。

 昨夜は、吐き気もなくてよく眠れた。そして、喉の痛みも軽減された。それはありがたいのだが、吐き気止めと痛み止めの薬のためか、今朝は、泥沼にはまったように体が重くて、身動きが出来ない。

 薬とは、こんな効き方をするのかと、安心と不安が入り交じった気持ちの朝だった。



がんになってから、「お布施をすると気持ちが変わる」ことに気がつきました。現在「認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ」に毎月定額寄付をしています。いただいたサポートは、この寄付に充当させて頂きます。サポートよろしくお願い致します。