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夏生さえり
2020年11月25日 23:29
足を蹴り上げると、枯葉がかわいた音で大きく鳴って、隣を歩いていた犬のおつきちゃんが驚いた顔をして立ち止まった。なに? 今の音はなに? 彼女は音の出どころを探ろうと視線を左右に投げて、「なんの音?」とわたしの顔を見る。「秋の音よ。枯葉の音」わたしはもう一度、足を大きく蹴り上げる。茶色にくすみはじめたばかりの枯葉が、わたしの靴先にほんのわずかにつかまって、パラパラと宙を舞う。その瞬間、おつきち