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ドイツ鋼鉄奮闘記(3)

METAL ON METAL Vol.28
2005.2.25号(連載第一回)

真田:この度我が METAL ON METAL にて新コーナーを設けました。その名も「SAEKOの今月の記録」そして、このコラムをナビゲートしてくれるのが、2004年10月にキングレコードより「ABOVE HEAVEN BELOW HEAVEN」(2021年現在、日本盤は廃盤)でデビューしましたドイツ在住のSAEKOさんです!今後彼女からドイツでの生活について、音楽シーンについて語っていただこうと思っております。是非皆さん期待して下さい!今回は最初ですので、私が簡単にインタビューしました。次回から連載の SAEKO さんのコラム、宜しくお願い致します!(写真:当時の私です▼、確かフランスへのプロモ時に撮影したものと思います。)

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真田(以下:D)こんにちは!この度はコラムに参加頂き誠に有難うございます!(^ ^) まずはSAEKOさんの簡単な自己紹介をお願い出来ますか?

SAEKO(以下:S)皆さん、こんにちは。今月からコラムを持たせて貰うことになり、とても嬉しいです。でも、何を書こう⁈っていうプレッシャーみたいなんもありますけど(笑)。とりあえず、私がドイツで日々感じたことや経験したことを書いていきたいと思うので、楽しんで貰えると嬉しいです。
 えっと、まず自己紹介ですよね。私 SAEKO は、1974年に大阪で生まれて、その後、ずっと大阪拠点にバンド活動してたんですが、2000年暮れに病気で倒れて入院、2001年春に当時のバンド FAIRY MIRROR を脱退。療養に専念せねばならなかったので、一時期は音楽活動から離れました。ですが、完治後、2002年10月ですね、海外での音楽活動再開を目指してドイツのハンブルクに単身移り住み、2004年8月にドイツのパワーメタル・バンド METALIUM のリーダー、ラーズ・ラッツのレーベルからデビュー作「ABOVE HEAVEN BELOW HEAVEN(天上天下)」をリリースしました。日本盤は10月リリースでした。ちなみに、ラーズは私のマネージャーもしてくれてます。で、最近の私はというと……次の作品に向けて一人自宅で作曲活動の日々です。

(D)なるほど!さて SAEKO さんは日本にいた時も、日本のメタルシーンに携わっていましたよね。ドイツは日本のシーンと比べて何か違いがありますか?食文化やドイツのインディーズ・メタル・シーンなどもご存知でしたら是非教えて下さい。

(S)日本と違うことですか?一杯ありますよ〜!音楽シーンは勿論ですが、日常生活から何から……人の根本的な考え方っていうんですか?とにかくだいぶ違います。で、そういう違いを通して、母国「日本」の良い面や悪い面を客観的に見られるようになりました。一言で言うのは難しいので、コラムで少しずつ書いていきたいと思います。

(D)今回、活動の場をドイツに選びましたが、実際ドイツでの生活は如何ですか?住む前にイメージしていたこと、住んでみて気がついたことなどありましたら教えて下さい。

(S)う〜ん、正直言うと、しょっちゅうホームシックです。周囲にアジア人が一人もいない環境なので、“日本人”の感覚を誰とも共有できないのもきついです。それと、ドイツの食事って脂っこくて、胃に重いんですよ。だから、日本にいた頃は和食が嫌いだった癖に、ドイツに来てからは和食ばっかり作ってます。牛丼に沢庵、味噌汁を飲みながら、一人で「くぅぅぅ、故郷〜(涙)」って言ってます。それと、私が大阪出身なせいかもしれませんが、最初は人がよそよそしく感じました。ハンブルクはドイツでも北部なので余計そうなのかもしれませんけど、冗談もあまり言わないし、みんないつも難しい顔してます。時間をかけて仲良くなったら、冷たい人たちじゃないってわかるんですけど、でも、やっぱり最初は淋しかったです。そう言えば「アルプスの少女ハイジ」知ってますよね?ハイジがスイスからドイツへ移った後、ホームシックになるじゃないですか。こうして、一人でドイツへ来てみて、その理由がわかりましたね(笑)。

(D)今回世界デビューを果たしましたよね。日本やドイツは勿論、今後は他の地域でも活動の場が増えてくると思います。今の心境として、どんな活動を夢見ていますか?

(S)自分でもよく分かりません(笑)。自分にできる最高を目指すというか、思いっきり生き切りたいだけで……具体的にどこに辿り着きたいかと言われると悩んでしまいます。実は、私自身よく自問するんです。何故そんなに歌い続けたいのかって。私ね、さっき言ったように朝から晩までホームシックなんですよ。テレビもドイツ語ばかりで未だに意味がよく分からないし、家にバスタブも無いし、めっちゃ銭湯に行きたくて(笑)。ドイツ来るために婚約者まで捨てて来ちゃったんですよ、私。本当に大好きやったんですけど……。とにかく、音楽以外の全てを捨てて来た感じだから、部屋に一人でいると淋しいし「そこまでして何がしたいの?」って、たまに自分でも思います。「こんなことヤメて、もう日本へ帰ろうか?」って。
 音楽活動によって表現したいことが山のようにあるんですけど、でも、例えそれを伝えられたとしても何がどうなるの?と思う時もあって……。たまに訳がわからなくなってくるんですけど、結局、歌うことにしか自分の生きる理由を見つけられないみたいな感じかな。だから、やっぱり精一杯自分の全てで歌い続けるしかない。で、そうやって作った音楽が誰かに届けば、自分の存在にも何か意味があるかもと思える……。すみません、支離滅裂ですね。

(D)いえ、確かに自分の存在に意味があるかと問われると……難しいですね。
さて、今回からコラムを始めて頂くことになりましたが、今後、どんなお話が聞けそうですか?

(S)自分のありのままの日常を伝えたいです。音楽制作についてのシリアスな話だけじゃなく、時にはアホな話やら、私の悩みを皆さんに打ち明けるかも……。読者の方から何かアドバイスが届いたら嬉しいし、何かこう、私が一方的に何か言うんじゃなく、皆と意見交換しあえるようなコラムがいいなぁ。それと、やっぱりドイツに住むミュージシャンならではの、日本と違った日常生活の側面もお届けしたいです。

(D)私自身も楽しみにしています!読者の皆さんも同じ日本人が、メタルの盛んなドイツで活躍することを自分のことのように喜び、応援してくれると思います。そんな読者のみなさんに今後の抱負とメッセージをお願いします。

(S)抱負ですか?いやぁ、難しいですね。逆に余り気合を入れず、ありのままの自分を生きていたい。だから皆さんも肩の力を抜いて、私のコラムをボケ〜っと楽しんでくれると嬉しいです。とか言って、凄くシリアスな問題提起ばっかりしたりして(笑)。そう言う性格だからなぁ、私。

(D)是非凱旋ライブも期待しています!今後も頑張って下さい!

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(D)……ということで SAEKO さんでした!私は昔、彼女が FAIRY MIRROR に在籍していた頃に一度ご挨拶したことがあります。その時の印象は、ヘヴィメタルにすごい情熱を注いでいる方だな〜と。今回、私が彼女にコラムの執筆をお願いしたのは、彼女に強いメタル・スピリットがあるからです。その為に海を越えちゃったんですから。私はヘヴィメタルを愛する気持ちは誰にも負けない!と自負しておりますが、だから、同じように熱い気持ちを持つ方との交流に生きがいを感じるのです。皆さんも誰にも負けないくらい、メタルを愛して下さいね!! 

 来月以降は SAEKO さんの独立したコラムとして正式にスタートします。時にはツアーが入ったり、レコーディング等で忙しくなると思います。執筆が難しい時もあるかもしれません。そんな時は暖かい目で彼女を支えてあげて下さい。彼女は我々日本人メタル・ヘッズの期待の星、希望です。

おまけ

 当時のアルバムは日本では廃盤になってますが、よかったら当時のライブ映像と共に聴いてやってください。メタル・クィーン DORO & ブレイズ・ベイリーと一緒に欧州ツアーした時の動画です▼


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