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ドイツ鋼鉄奮闘記(6)

日独ヘヴィメタル活動比較1

 今日は、メタルの本場ドイツで、一流ミュージシャンに囲まれて活動したからこそ気づいた”日本人特有の思い込み”について書いてみたいと思います。

 当時、世界的に有名なミュージシャンに囲まれた日々だったのですが、中でも特にお世話になったのはドイツのパワーメタル・バンド METALIUM(2011年に解散)でした。ベーシストのラーズ・ラッツは私のアルバムをプロデュース、ドラマーのマイケル・エーレ(その後、ガンマ・レイプライマル・フィアに加入)は私のアルバムで楽曲アレンジとドラム&リズム・ギターを担当、ボーカルのヘニング・バッセ(その後、ファイアーウィンドに加入)も私のボイス・トレーナーとして私を支えてくれました。他にも、例えば、ドロ・ペッシュブレイズ・ベイリー(ex. アイアン・メイデン)とツアーに出たり……日本では決して体験できないだろう貴重な時間を、数多くの海外一流ヘヴィメタル・ミュージシャン達と共に過ごしました(当時の写真▼ メタル・ファンにご存知の顔が並んでるのではないでしょうか。一般の方のみ、お顔を隠しました)。そんな活動を通して感じたことをまとめてみたいと思います。 

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 私の印象ですが、多くの日本のヘヴィメタル歌手って「欧米のボーカリストに声量や肺活量では叶わない」と思い込んで、変なコンプレックス持ってませんか?少なくとも私の周囲にはそのような方が多かったです。そして、そのせいか、日本人のヘヴィメタル歌手は、これでもか、これでもかと、必要以上に(?!)やたら声を張り上げる気がするのです。(ボーカリストへの褒め言葉が「よく声が出てたよ」だったりしますし……😅。)でもね、このコンプレックス、勝手な思い込みかもしれません。

 と言うのは、私もドイツへ渡った当初はそう思い込んでいて……だから、“負けない声量で歌おう!”とめちゃくちゃ気合を入れて、レコーディングに臨んだんですよね。
 でも、実際にレコーディングを開始してみると、ラーズ始め、欧米人プロデューサー達に何度も言われたんです。
「もっと抑えて!」

 日本で「もっと出して」とはよく言われましたが、「抑えて」なんて言われたことはなく……正直、最初はかなり当惑しました。😵
 
 曰く、「抑えるとこを抑えた方が、大きな声でシャウトした時に際立つのに、お前は常に最大ボリュームだ。最大ボリュームは、ここぞって時まで使うな。」
目から鱗でした。
 なるほど、ドラマはこうして作るのか……。

 勿論、元々すご〜く声量のある人にわざわざ抑えろというのが必ずしも正しい訳ではないでしょうし、それぞれの個性を活かせば良いとは思います。でも、“欧米人に負けないように”なんて、変なコンプレックスに囚われて、わざわざ大きく歌おうとする必要はないのだと気付かされました。
 ”〜みたいに”とか”〜に負けないように”ではなく、ありのままの自分らしく歌う。そうすると、日本人にしか出せない雰囲気といったものが自然と現れてきます。そして、その方がずっと個性的で印象的な歌になる。少なくとも私自身についてはそのように感じました。その点に気づかせてくれた彼らに、非常に感謝しています。

 日本人らしさ、ブレない"自分らしさ"を常に心に持ち続けること。恐らくこれは音楽や歌だけでなく、ジャンルを問わず、世界で戦おうとする日本人の多くに当てはまることではないかな〜と、今もそう思います。

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