転職6回したデザイナーが 転職を始めようと考えだした時に読む備忘録 #2社目

私はグラフィックデザイナーを生業にして20年近く経つ。
同じ職種ではあるが様々な会社がある。
1社目は典型的な体育会系デザイン事務所であった。

そこのクライアント先の化粧品の仕事を担当しているうちに憧れを抱いたのだが。

●2社目 化粧品メーカー インハウスデザイナー

自信満々で入社した化粧品メーカー。
何てったって前職でこのメーカーのデザインを外注で作成していたのは私なのだから!
勿論、前職の社長にはとんでもなく怒られた。
何となくクライアント先に転職するのはご法度の様な風潮があるのだ。
しかもその頃の私は若かった。
(社長には泣いて謝った。今もたまに連絡は取り合うくらい仲は良い。)
何でもできる!まだまだやれる!自信があったのだ。
メーカーと言うのはデザインが出来れば良い訳ではなかった。
謎の研修、例えば店頭の美容部員さん達が受ける様な鏡を持って「私は綺麗」と自分に向かって言ったり、
サンプルを配ったり、部長や課長、お局様にヨイショしたり、忘年会などの際はお店を下見したり…
とにかくデザイナーと言うよりは会社員だった。
なのでデザイン、ましてや仕事で深夜まで残業するなんて考えられない様な人達の方が圧倒的に多く、
そう言った意味ではホワイト企業である。
ついこの間まで終電が定時だった人間からしたら天国だ。
今まで遊んで来なかった分、すごく遊んだ気がする。
そして同僚達は元々この会社に新入社員から居た人が多いので、外部の人に対して横柄に感じることもあった。
好きなジャンルのデザインが出来て早く帰れる!
なんて夢の様なことだろうと思っていたが、
同僚がお局様に目をつけられ降格させられた事があってからは、自分もそうなったらどうしよう。
でもそれは変だしそれを受け入れる会社も変だと思いながらも、とにかくこなす日々が続いた。
その頃は様々なブランドがあり担当ADとコピーライターが1ブランドにそれぞれ付いて居たので
私は足りない所に補填されたりして色々なブランドを担当出来た。
そして最終的に担当したブランドの上司が、以前この会社に下請けで来た時に見かけたスカートフリフリ女だったのだ!
年齢は思ったより上だったが彼女は会社からも少し浮いて居た。
上司に注意されても気にしないタイプでもあった。
仕事がすごく出来るわけでも無いのだが彼女にしか出来ない海外と連携する仕事があったので本人も浮いてることを気にもせず飄々と会社に居続けているのであった。
勿論、社外社内での評判は悪い。
その下で3年ほど一緒に働いた。
私も彼女に嫌われても特に会社でのキャリアダウンになる訳でも無いので
ハッキリ言いたい事は言っていたが彼女が鈍感なのか仲は拗れることも無く、ただ私は毎年同じように春夏秋冬と化粧品の撮影を行うことに疲弊し辞めることを決めたのだった。
毎日の様に行われる女達のマウンティングや、男性社員の上司はの媚びにも疲れたのもあった。
化粧品のビジュアルを作ることも好きだったし撮影がとにかく楽しかった。
ただこのまま30代になってキャリアが化粧品メーカーばかりになってスカートフリフリの様に40代になり周りに注意されずに(されても気づかない?)様なデザイナー人生で終わるのもなんだか違う様に感じたのだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?