転職6回したデザイナーが 転職を始めようと考えだした時に読む備忘録 #4社目

私はグラフィックデザイナーを生業にして20年近く経つ。
同じ職種ではあるが様々な会社がある。
1社目はマス媒体メインのデザイン事務所。
2社目は安定の化粧品メーカー インハウスデザイナー
3社目 直クラメインのデザイン事務所。

なんだかんだでこなしてみたら、まだまだ色んな世界を見たい願望が出てきてしまい…

●4社目 外資系広告代理店

次に転職した先は外資系広告代理店。
たまたまグラフィックデザイナーとして応募が有り、今まで国内のクライアント(化粧品はライセンス)だったので興味津々のやる気満々でプレゼン資料も作り(今思えばどんだけパワーがあったのか…)挑んだ結果、見事採用!
社内も今まで見たことが無い様なオシャレな作り。
外国人もいるし英語も飛び交っているし、そもそも代理店と言うところで働くのも初めてで、
みんなが凄い別世界に見えた。
入社したメンバーは集められてよく分からない研修も兼ねてピザパーティーがあったり、
同僚も帰国子女だったり、会社で飲み会があったり。
まさにTVで見てるキラキラの広告代理店!
まぁそれも最初は珍しくて眩しかったのだが、
仕事の内容がつまらなかった…
仕事なんだからと言うけれど撮影とかに行くのはアートディレクター、クリエイティブディレクターと営業。
そのプレゼン資料をひたすら作るのだ。
企画意図も聞かされず作ることも多々。
更にプレゼンが通れば後の作業はまた別の部署が版下まで作る。
まさに工場だ。
私達はアートディレクターが昼間話してたことを夕方に聞き、アートディレクターが飲みに行ってる間にひたすらカンプ作業。
カンプもクオリティをすごく求めるのでこれ撮影した方が早いよ?レベルまで作らされる。
途中で何を作ってるのかもはや分からなくなってくる。
アイデア出しが、たまに有って良い方で殆どクリエイティブディレクターとアートディレクターが考えたものをカンプでカタチにするのだ。
広告ならまだ良くて自販機に置いてあるイメージの合成や、
コンビニに並んだ時のイメージをPhotoshopで立体的に起こしてシュミレーションする資料作成とかが大半だった。
勿論、英語は喋れないので話せる社員に比べるとミーティングもあまり呼ばれない。
初めは意識高く英語も習おうと思い英会話学校にも行ってみたがほぼ会社でカンプ作業なので諦めた。
給料は結構上がった。
みんなも世代も近いし仲のいい子もいる。
でも仕事がつまらないのだ。


賞を取ったアートディレクターやクリエイティブディレクターが会議中にテーブルに足を乗せていたり、
後輩を指笛で呼んだり、不倫してたり、セフレが居たり…
なんだか自分のことも嫌になってきた。


今まで徹夜もしたり、プレゼンがひっくり返されたり、嫌なことを言われたり沢山有ったけど仕事が楽しかったから乗り越えられて来たんだなぁ。と思った。
真面目にやればやる程バカらしくなってきて新卒で入社してきた何も分からないアートディレクターにカンプの依頼をされる。
制作意図を聞いても分からない。何がしたいのかも分からない。
そんなんでアートディレクターって名乗れるのが妬ましく思え、今まで一生懸命やって来たことが悲しくなって来てしまった。

お金も貰えるようになったし仕事は大きいし、予算もある。
でも良い物を作ろうとすると残業代がかかり怒られる。
提案したものが気づいたら違う方向に進んでいたり、
最終的にどうなったのかも知らされない。


仕事が忙しくて鬱になる訳じゃないんだな。
やり甲斐が無くてやる気を失った。
仕事を頼まれると嫌で嫌でペースが遅くなり、ミスが多くなっていった。

色々方向性を見失って気づいたら近くでデザイン事務所をしている先輩を手伝って別の仕事も始め出した。


結局、外資系広告代理店は契約社員だったので戦力外と見なされ更新される事は無く
一年で退社することになった。







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