転職6回したデザイナーが 転職を始めようと考えだした時に読む備忘録 #3社目

私はグラフィックデザイナーを生業にして20年近く経つ。
同じ職種ではあるが様々な会社がある。
1社目はマス媒体メインのデザイン事務所。
2社目は安定の化粧品メーカー インハウスデザイナー

体育会系出身のデザイナーにはどこか会社員とは相入れない思いが出てきてしまい。

●3社目 直クラメイン デザイン事務所

化粧品メーカーで5つくらいブランドを担当させてもらい、20代も終わりに差し掛かった頃に転職活動を始めて提案してもらった会社は殆ど別の化粧品メーカーだった。
このままだと化粧品以外のことをやらずにデザイナー人生終わるのかと思うと上京してきた意味が無い様な気もしてきた。
いくつか他社の同業メーカーも受けたが乗り気にならない。
そんな時に紹介されたデザイン事務所。
スタジオも経営してる、webもやってる、アパレルメイン。そして直クラ。
直クラとはそのまんま直接クライアントから仕事を受けてるデザイン事務所のことである。
最初の事務所にいた時にすごく不条理に感じていたこと、それは代理店からの理不尽な要求や返事待ちの時間。
何故そんなに帰る時間が遅いのかと言われると大体は代理店からの返事待ちで提出してから返答が来るまで帰れない。
半日なんて早い方で深夜に返答が来てそこから作業して朝に修正を提出なんて事もザラにある。
しかもクライアントが言っていた事を直接は聞けないので代理店の営業が理解力が無い人の場合は大変だ。
修正に次ぐ修正で朝まで帰れない。
その割に返信が来ない間はやる事が無くてご飯を食べに行ったり買い物したりネットサーフィンしたり。
他の案件が丁度修正がある時はまだいいが無い時は本当にやる事が無い。
まさに時間泥棒だ。
それが直クラなら無いのだ。クライアントの意見を直接聞けて、実際はどういう事を求めてるのかどうしたいと思ったのか、その場でディスカッション出来るのだ。
しかもその当時はWEBはWEB会社で行なっている所が大半だったのですごく興味が湧いた。
撮影も好きなのでスタジオ経営してるのにもテンションが上がった。

当日ADは社長。メインで作業してるのは2名ほど。
ただし1人は自分の持っていた仕事だけ行ってるので実質デザイナーとして一緒にするのは1人。
しかも今までに居なかった様なコミュ障だった。
黙々と作業するだけでお昼を食べてるのも気付かないくらい無音。←隣の席
クライアントにも何も言わない。意見を求められても話さないので営業が話す。
こうなると完全に社長のワンマンだ。
後から入ってきた男の子も地方から出てきてまず方言が強すぎて意味がわからない。
そこで任されたのは通販のページ物だった。
今までイラストレーター、フォトショップと言うソフトしか使ってこなかったが50ページくらいの物になるとインデザインを使った方がいいと教えられ独学で勉強。
学生の頃にクォークと言うインデザインの前のソフトを授業で勉強していたので何とか出来る様になった。
通販カタログというのは見たことはあっても使ったことは無かったので本当に大変だと体感した。
そこに掲載されてる物写真も全部撮影するのだ。
雑誌と同じ様な物で今まで主に広告や店頭で補助的に渡すカタログしか作っていなかったので今までとはまた違う技量が試される。
撮影も6人カメラマンが居て3日とかかけて行う。
座ってる暇も無く6人のカメラマンから引っ切りなしに「チェックお願いしますー!」という声が飛び交う。
ある程度良さそうだと思ったらクライアントを呼んで確認。
またある時はモデル撮影でロケやホテル、ハウススタジオ等、1日で色んなシュチュエーションで撮る。
今までの経験も活かしながらも新しい現場で様々な撮影を行った。
ただ今までと大きく違うのは予算。
クライアントにもよるが代理店絡みの仕事はやはり単価が大きい。
タレントを使う事があったり雑誌広告や新聞広告、CMと連動したりしていたのでプレゼン料がタダでも1つやるとデカイ。
直クラとなると代理店に引かれることも無いが元々の単価が安いのである。
その割に撮影量も多いし時間も拘束される。
単価が安いので全部自分達で回さないと行けない。
待ち時間は減ったが作業時間が朝までになることもあった。
結果、WEBに関われることも無く下着だったりの通販カタログにひたすら追われる日々になってしまった。
やりたい事とはこれなのか?
またしても私は作業に追われ見失いかけていた。
このままだと通販カタログをひたすら作るデザイナーになる。
そんな気がして転職を早まったのか後悔が襲ってきたのだった。
今まではクライアント側だったから融通を聞いてくれていたカメラマンやスタイリスト、ヘア、メイク、印刷屋さんからも予算が無い為に受けてもらえない。

何か違う…
私はアートディレクションしたいのだ。
作業だけに追われるデザイナー、予算が無いから諦める。
そんなのは嫌だー!オラそんなデザイナー嫌だー!
そしてまた遊牧民として旅に出る事を決めたのだった。





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