見出し画像

労働者協同組合法(施行日=2022年10月1日)における労働者協同組合とは

労働政策審議会・勤労者生活分科会(厚労省)

厚生労働省の第25回「労働政策審議会勤労者生活分科会」(オンライン会議)が、次週・金曜日(2021年12月3日)に開催。議題は「労働者協同組合法の施行について」。

労働政策審議会・勤労者生活分科会(厚生労働省サイト)

労働者協同組合法の施行期日(施行日=実施日)

労働者協同組合法の施行期日はだが、労働者協同組合法(一部を除き)公布後2年以内の政令で定める日から施行することとされているが、前回(第24回、2021年8月2日開催)労働政策審議会・勤労者生活分科会で「労働者協同組合法の施行期日を定める政令案要綱について」諮問・答申案が議論された。

諮問には「労働者協同組合法(令和二年法律第七十八号)の施行期日は、令和四年十月一日とすること」と記載されており、つまり労働者協同組合法の施行期日(施行日=実施日)は来年(2022年)10月1日となった

労働者協同組合法とは

厚生労働省サイトには労働者協同組合法のぺーじがあり、そこには「労働者協同組合法について」(PDFファイル)と「労働者協同組合法概要」(PDFファイル)がリンクされているが、まず「労働者協同組合法について」(PDFファイル)には労働者共同組合法について簡単に説明されている。

労働者協同組合法について(PDFファイル)

また、「労働者協同組合法概要」(PDFファイル)には次のように記載されているが、その中に「厚生労働大臣は、組合及び連合会の適正な運営に資するため、あらかじめ労働政策審議会の意見を聴いた上で、必要な指針を定めるものとする」と書かれている。

労働者協同組合法 概要
第一 目的
この法律は、各人が生活との調和を保ちつつその意欲及び能力に応じて就労する機会が必ずしも十分に確保されていない現状等を踏まえ、組合員が出資し、それぞれの意見を反映して組合の事業が行われ、及び組合員自らが事業に従事することを基本原理とする組織に関し、設立、管理その他必要な事項を定めること等により、多様な就労の機会を創出することを促進するとともに、当該組織を通じて地域における多様な需要に応じた事業が行われることを促進し、もって持続可能で活力ある地域社会の実現に資することを目的とすること。(第1条関係)

第二 労働者協同組合
一 通則
1 組合の基本原理その他の基準及び運営の原則
⑴ 労働者協同組合(以下「組合」という。)は、次に掲げる基本原理に従い事業が行われることを通じて、持続可能で活力ある地域社会の実現に資することを目的とするものでなければならないこと。 (第3条第1項関係)
① 組合員が出資すること。
② その事業を行うに当たり組合員の意見が適切に反映されること。
③ 組合員が組合の行う事業に従事すること。
⑵ 組合は、⑴のほか、次に掲げる要件を備えなければならないこと。(第3条第2項関係)
① 組合員が任意に加入し、又は脱退することができること。
② 三の3⑴に基づき、組合員との間で労働契約を締結すること。
③ 組合員の議決権及び選挙権は、出資口数にかかわらず、平等であること。
④ 組合との間で労働契約を締結する組合員が総組合員の議決権の過半数を保有すること。
⑤ 剰余金の配当は、組合員が組合の事業に従事した程度に応じて行うこと。
⑶ 組合は、営利を目的としてその事業を行ってはならないこと。(第3条第3項関係)
⑷ 組合は、特定の政党のために利用してはならないこと。 (第3条第5項関係)
2 組合員の資格
組合の組合員たる資格を有する者は、定款で定める個人とすること。(第6条関係)
二 事業
1 組合の行う事業
⑴ 組合は、一の1⑴の目的を達成するため、事業を行うものとすること。
(第7条第1項関係)
⑵ 組合は、労働者派遣事業その他の組合がその目的に照らして行うことが適当でないものとして政令で定める事業を行うことができないこと。 (第7条第2項関係)
2 事業従事者の人数要件
⑴ 総組合員の5分の4以上の数の組合員は、組合の行う事業に従事しなければならないこと。 (第8条第1項関係)
⑵ 組合の行う事業に従事する者の4分の3以上は、組合員でなければならないこと。(第8条第2項関係)
三 組合員
1 出資
⑴ 組合員は、出資一口以上を有し、出資一口の金額は均一でなければならないこと。(第9条第1項及び第2項関係)
⑵ 組合員の責任は、その出資額を限度とすること。 (第9条第5項関係)
2 持分の譲渡制限
組合員の持分は、譲渡することができないこと。 (第13条関係)
3 労働契約の締結等
⑴ 組合は、その行う事業に従事する組合員(一部の役員である組合員を除く。)との間で、労働契約を締結しなければならないこと。 (第20条第1項関係)
⑵ 組合は、組合員(組合員であった者を含む。)であって組合との間で労働契約を締結してその事業に従事するものが、議決権又は選挙権の行使、脱退その他の組合員の資格に基づく行為をしたことを理由として、解雇その他の労働関係上の不利益な取扱いをしてはならないこと。 (第21条関係)
四 設立
組合の設立については、準則主義によるものとし、3人以上の発起人を要すること。(第22条から第28条まで関係)
五 管理
1 定款及び規約
定款及び規約に関する所要の規定を整備すること。(第29条から第31条まで関係)
2 役員、組合員監査会等
⑴ 組合に、役員として理事(3人以上)及び監事(1人以上)を置くこと。(第32条第1項及び第2項関係)
⑵ 理事は、組合員でなければならないこと。 (第32条第4項関係)
⑶ 組合員の総数が一定の基準を超える組合は、外部監事(1人以上)を置かなければならないこと。 (第32条第5項関係)
⑷ ⑴にかかわらず、組合員の総数が 20 人を超えない組合には、定款で定めるところにより、監事に代えて、理事以外の全ての組合員をもって組織する組合員監査会を置くことができること。 (第54条第1項関係)
⑸ その他役員、組合員監査会等に関する所要の規定を整備すること。(第32条から第57条まで関係)
3 総会等
⑴ 理事は、各事業年度に係る組合員の意見を反映させる方策の実施の状況及びその結果並びに就業規則の作成又は労使協定の締結等の内容を総会に報告しなければならないこと。 (第66条関係)
⑵ 組合員の総数が 200 人を超える組合は、定款で定めるところにより、総会に代わるべき総代会を設けることができること。 (第71条第1項関係)
⑶ その他総会等に関する所要の規定を整備すること。(第58条から第71条まで関係)
4 会計
⑴ 組合は、定款で定める額に達するまでは、毎事業年度の剰余金の 10 分の1以上を準備金として積み立てなければならないこと。 (第76条第1項関係)
⑵ 組合は、その事業規模又は事業活動の拡大を通じた就労の機会の創出を図るために必要な費用に充てるため、毎事業年度の剰余金の 20 分の1以上を就労創出等積立金として積み立てなければならないこと。 (第76条第4項関係)
⑶ 組合は、組合員の組合の事業に関する知識の向上を図るために必要な費用に充てるため、毎事業年度の剰余金の 20 分の1以上を教育繰越金として翌事業年度に繰り越さなければならないこと。 (第76条第5項関係)
六 解散及び清算並びに合併
解散及び清算並びに合併に関する所要の規定を整備すること。 (第2章第6節関係)

第三 労働者協同組合連合会
労働者協同組合連合会(以下「連合会」という。)が行う事業(会員たる組合の指導、連絡及び調整に関する事業)その他の連合会に関する所要の規定を整備すること。(第3章関係)

第四 行政庁による監督等
一 行政庁による監督
行政庁(個別の組合:都道府県知事、連合会:厚生労働大臣)による報告の徴取その他の監督に関する所要の規定を整備すること。 (第124条から第129条まで関係)
二 指針
厚生労働大臣は、組合及び連合会の適正な運営に資するため、あらかじめ労働政策審議会の意見を聴いた上で、必要な指針を定めるものとすること。第130条関係)

第五 その他
一 施行期日
この法律は、一部を除き、公布後2年以内の政令で定める日から施行すること。
(附則第1条関係)
二 企業組合又はNPO法人から組合への組織変更
この法律の施行の際現に存する企業組合又はNPO法人は、施行後3年以内に、総会の議決により(準則主義)、その組織を変更し、組合になることができること。
(附則第4条関係)
三 NPO法人からの組織変更に係る特別な規制
NPO法人から組織変更した組合は、NPO法人時代の財産(組織変更時財産)について、次に掲げる義務その他の特別な規制を受けること。
1 組織変更時財産は、特定非営利活動に係る事業に該当する旨の行政庁の確認を受けた
事業によって生じた損失の補填に充てる場合のほか、使用してはならないこと。
(附則第21条関係)
2 毎事業年度終了後、組織変更時財産の額に係る使用の状況を行政庁に報告しなければならないこと。 (附則第23条関係)
3 解散した組合の残余財産のうち組織変更時財産の残額に相当するものは、NPO法人等に帰属させなければならないこと。 (附則第24条関係)
四 検討条項(施行後5年)その他の規定を設けること

労働者協同組合法概要(PDFファイル)

労働者協同組合とは

労働者協同組合とは、厚生労働省サイトには「労働者協同組合法(令和2年法律第78号)に基づいて設立された法人で、組合員が出資し、それぞれの意見を反映して組合の事業が行われ、組合員自らが事業に従事することを基本原理とする組織」と記載されている。

また、ウィキペディアには労働者協同組合とは、協同組合の一形態。そこで働く労働者自身が主として資金を持ち寄り、労働者自身によって所有・管理される協同組合である」と書かれている。

なお、厚生労働省サイトには次のように労働者協同組合の基本原理などが記載されている。

労働者協同組合の基本原理等
1.労働者協同組合(以下「組合」という。)は、次に掲げる基本原理に従い事業が行われることを通じて、持続可能で活力ある地域社会の実現に資することを目的とするものでなければならないこと。
(1)組合員が出資すること
(2)その事業を行うに当たり組合員の意見が適切に反映されること
(3)組合員が組合の行う事業に従事すること

2.組合は、1のほか、次に掲げる要件を備えなければならないこと。
(1)組合員が任意に加入し、又は脱退することができること
(2)組合とその行う事業に従事する組合員との間で労働契約を締結すること
(3)組合員の議決権及び選挙権は、出資口数にかかわらず、平等であること
(4)組合との間で労働契約を締結する組合員が総組合員の議決権の過半数を保有すること
(5)剰余金の配当は、組合員が組合の事業に従事した程度に応じて行うこと

3.組合は、営利を目的としてその事業を行ってはならないこと

4.組合は、特定の政党のために利用してはならないこと(厚生労働省サイトより)

追記:第25回「労働政策審議会勤労者生活分科会」資料

厚生労働省が明日(2021年12月3日)オンラインで開催される第25回「労働政策審議会勤労者生活分科会」(議題:労働者協同組合法の施行について)の配布資料(「労働者協同組合法施行令案について<概要>」など)を公開。

労働者協同組合法施行令案について
1 制定の趣旨

労働者協同組合法(令和2年法律第78号)の施行に伴い、
● 組合が行うことが適当でない事業
● 組合員等以外の者からの監事の選任を要する組合の範囲
● 役員の職務及び権限について準用する会社法の規定の読替え
● 理事会等の招集について準用する会社法の規定の読替え
● 役員の組合に対する損害賠償責任について準用する会社法の規定の読替え
● 監査会設置組合以外の組合の役員の責任を追及する訴えについて準用する会社法の規定の読替え
● 書面に記載すべき事項等の電磁的方法による提供の承諾等
● 監査会の職務及び権限について準用する会社法の規定の読替え
● 監査会設置組合の役員の責任を追及する訴えについて準用する会社法の規定の読替え等
● 監査会設置組合と理事との間の訴えについて準用する会社法の規定の読替え
● 組合の解散及び清算等について準用する会社法の規定の読替え
● 出資の割当てを受けることができない者
について定めるとともに、その他所要の規定の整備を行うもの。

2 政令案の概要
⑴ 組合が行うことが適当でない事業
労働者協同組合法(以下「法」という。)第7条第2項に規定する政令で定める事業は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)第2条第3号に掲げる労働者派遣事業とする。
⑵ 組合員等以外の者からの監事の選任を要する組合の範囲
法第32条第5項の政令で定める基準は、事業年度の開始の時における組合員
の総数が1,000人であることとする。
⑶ 役員の職務及び権限について準用する会社法の規定の読替え
法第38条第3項の規定により組合の役員の職務及び権限について会社法(平
成17年法律第86号)の規定を準用する場合における同法の規定に係る技術的読替えについて定める。(※役員の報告義務等)
⑷ 理事会等の招集について準用する会社法の規定の読替え
法第40条第6項(法第94条第2項において準用する場合を含む。)の規定に
より理事会又は清算人会の招集について会社法の規定を準用する場合における同法の規定に係る技術的読替えについて定める。(※理事会の招集権者等)
⑸ 役員の組合に対する損害賠償責任について準用する会社法の規定の読替え
法第45条第9項の規定により役員の組合に対する損害賠償責任について会社
法の規定を準用する場合における同法の規定に係る技術的読替えについて定める。(※理事会の決議による免除に関する定款の定め等)
⑹ 監査会設置組合以外の組合の役員の責任を追及する訴えについて準用する会社法の規定の読替え
法第50条の規定により監査会設置組合以外の組合の役員の責任を追及する訴
えについて会社法の規定を準用する場合における同法の規定に係る技術的読替えについて定める。(※責任追及の訴えに係る訴訟費用等)
⑺ 書面に記載すべき事項等の電磁的方法による提供の承諾等
① 法第53条第4項及び第7項に規定する事項を電磁的方法(法第11条第3項に規定する電磁的方法をいう。以下同じ。)により提供しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、当該事項の提供の相手方に対し、その用いる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。
② ①による承諾を得た提供者は、①の相手方から書面又は電磁的方法により電磁的方法による事項の提供を受けない旨の申出があったときは、当該相手方に対し、当該事項の提供を電磁的方法によってしてはならない。ただし、当該相手方が再び①の規定による承諾をした場合は、この限りでない。
⑻ 監査会の職務及び権限について準用する会社法の規定の読替え
法第54条第4項の規定により監査会の職務及び権限について会社法の規定を
準用する場合における同法の規定に係る技術的読替えについて定める。(※理事会への報告義務等)
⑼ 監査会設置組合の役員の責任を追及する訴えについて準用する会社法の規定の読替え等法第57条第1項の規定により変更して適用することとされた法第50条の規定により監査会設置組合の役員の責任を追及する訴えについて会社法の規定を準用する場合における同法の規定に係る技術的読替え等について定める。(※責任追求の訴えに係る訴訟費用等)
⑽ 監査会設置組合と理事との間の訴えについて準用する会社法の規定の読替え
法第57条第2項の規定により監査会設置組合と理事との間の訴えについて会
社法の規定を準用する場合における同法の規定に係る技術的読替えについて定める。(※監査会設置組合と理事との間の訴えにおける監査会設置組合の代表)
⑾ 組合の解散及び清算等について準用する会社法の規定の読替え
法第94条第1項の規定により組合の解散及び清算について会社法の規定を準
用する場合における同法の規定に係る技術的読替え等について定める。(※清算の開始原因等)
⑿ 出資の割当てを受けることができない者
法附則第8条第1項に規定する政令で定める者は、中小企業等協同組合法(昭和24年法律第181号)第18条第1項の規定により組織変更前の企業組合から
退することとなる組合員とする。
⒀ その他所要の規定の整備を行うこと。

3 施行期日
労働者協同組合法の施行の日(令和4年10月1日)

資料1 労働者協同組合法施行令案について(概要)(PDFファイル)

第25回労働政策審議会勤労者生活分科会資料(厚生労働省サイト)