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無題

それは美しい思い出で
オルゴールの終わる音で目が覚めた、
幸せの声を聞いて眠った夜を思い出した

孤独の中すれ違う人の笑い声が、
あの時の蝉の鳴き声になればいいのに

一人で凍えながら歩いた雨の日の水溜まりが、
あの夏の終わりの浅瀬の海になって仕舞えばいいのに

裏切る希望ほど絶望を助長するものが無いと
気づいてしまいたく無かった

心を失くしたいと、自我こそ邪魔だと思う自身の目の前にあるイヅルはそれを許さない

最早沈むのも時間の問題である船だろうとあの日あの時なら構わなかっただろう
あれから私の精神には死ぬことも生きることも
出来ない、何かが孕まれてしまった

好きな夏も美しかった海もモノクロでは済まない程に視覚化できなくなってしまった
まるでそれは海になれなかった泥に
蟻地獄に引き摺り込まれて行くように
もがいて泣いて苦しんで 誰か助けて

僕らの愛を照らした月は
僕の絶望を照らしてる

幸せの日記は水溜まりに溶けて
心臓が燃えて僕は君の流星になって
赤い液体と空気になれた気がしたけど
そんなの夢で その赤はイヅルという糸

どうやら最後の命の綱だ
守らないといけない

君は
例え後ろ指を刺されながらもそれを守れるか?
君は
例え自信を否定されてもそれを守れるか?

その愛でそれ以外の苦しみを亡き者にできる?

私にはできないの でも近い将来してみせる
築かれ、滅ぼされたその愛を
数年の築かれたものこそ壊れた代償は大きい
けれど十数年のイヅルという愛こそ私達の
大切にするべきもの
なにがあっても守り通すと約束しましょう、
私の大切な、唯一無二の吉良イヅル


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