見出し画像

労働組合が大事にしてきた「つながり」はこれからも大事か?

労働組合はとかく人と人のつながりを大事にしてきました。ウエットすぎるくらいに。でも、それはひとり一人と向き合い、それが成功の拠り所になってきたからだと思います。そして、労働組合が今も「人と人とのつながりを大事にしよう」と言い続けてきたことは、時の試練を超えた最大の教訓であり、やはり今後も求められていることであるということです。でも、一体どのような「つながり」を作ればいいのでしょうか?強いつながり?弱いつながり?それは誰と?

TEDでの、精神科医のロバート・ウォールディンガー(Robert Waldinger)先生の、What makes a good life? Lessons from the longest study on happiness. 和訳「よい人生をもたらすものとは?幸せに関する最長の研究の結果からの学び」、邦題「人生を幸せにするのは何? 最も長期に渡る幸福の研究から」は大変有名な動画になりました。

ハーバード成人発達研究を通して、75年に渡って724人の男性の生活を毎年調べ、幸せはどのように形成されるかを明らかにしました。

研究によると、お金や富、一生懸命働くことが幸せに関与するわけではなく、幸せで健康な人は、よい人間関係を持っている。ということです。

人間関係について研究から3つの教訓が得られています。

1.社会的につながっている人は健康である
第一に言えるのは、周囲とつながっている人は元気である、ということ。孤独な人は、その逆。家族、友達、地域の人とつながっている人ほど、幸せで健康。つながっていない人より長生き。孤独な人は、幸せではなく、中年以降、健康や脳の機能が衰え、孤独でない人に比べて、短命である。

2.人間関係の質が大切
大勢の中にいても、結婚していても、孤独を感じることはある。友だちが多ければよい、パートナーがいればよい、というわけではない。重要なのは、親しい人との人間関係の質。身近な人と敵対しながら暮らすのは非常に健康によくない。愛情のない、争いの多い結婚生活はとても健康に悪く、離婚するより、害がある。

3.よい人間関係は脳にもよい
よい人間関係を持つことは、身体だけでなく脳も守ってくれる。80代で、困った時に頼れる誰かとしっかりつながっている人の記憶は、よりはっきりしている。頼れる人が誰もいないと感じている人は、早く記憶が衰えてしまう。よい人間関係とは、いつも穏やかであるとは限らない。ふだん小さなケンカが多くても、何かあったら、相手に頼れると思っているのなら、日頃のケンカは脳に影響を及ぼさない。

弱いつながりを増やし、強いつながりは健全に維持する

この研究から労働組合を考察するならば、その「つながり」の関係の質を問う必要はあります。ただ繋がればいいというわけではないのです。労働組合の内部、すなわち、本部や支部、支部長や書記長と委員、こうした強いつながりは健全に維持しなくてはなりません。また地域・社会と弱く広くつながっておくことがいいでしょう。労働組合の役員はこの点で、有利です。他社の人とつながりを持ち、協力しあい、得られるものがあります。この実感を委員(執行委員や代表委員)、更には一般の組合員にもその場を提供することこそが皆さんの「幸せ」につながっていくと言えます。

良質な強いつながりと、弱いつながりをどんどんと作っていくことこそ、組合員の幸せに導く方法であり、これからも労働組合が担っていくメインの事業と言えるのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?