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【万葉集】天の川(巻八・一五一八 山上憶良)

天の川相向き立ちてわが恋ひし
君来ますなり紐解き設(ま)けな
(巻八 一五一八 山上憶良)

【解釈】

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天の川に向かって立って待っていると、向こうから私の恋しいあの人がこちらへやって来る。腰紐をほどいて、支度をしておきましょう。

微妙に過ぎてしまったけれど、季節ものということで万葉集から七夕の歌を。巻八の秋雑歌、「山上臣憶良の七夕の歌十二首」の最初に収められています。

初めてこの歌を知ったのは大学時代、確か1回生の頃でした。

「紐」は着物の腰紐のこと。

久しぶりに恋人に会えるから腰紐をほどいて支度をするだなんて、その直球ぶりに当時18歳の私はずいぶんどぎまぎしたものです。えっなんかもうちょっとないのかな、トークとかお茶とか、せめてお酒とか。なんて思っておりました。

まあそれはさておき、衣の腰紐に関する描写は他の歌にもあって、柿本人麻呂も詠んでいたりします(二五一)。

恋人が旅立つ時などに、相手の無事を祈って腰紐をしめてあげる、なんていう風習があったと言われています。実際には、それをみだりに解きません=他の人とは関係を持ちません、という約束だったとも。

恋しい人と離れ離れになるというのは、いつの世でも淋しいものなのですね。

ちなみに、七夕の日に雨だと織姫と彦星が会えない、というのは嘘なんじゃないかと子供の頃から思っていました。2人がいるのは空の上なのだから、地上の雨なんて関係なさそうです。
むしろ下からのぞかれる心配もなく、ゆっくりデートしている気がするのだけど、違うのかしら。

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