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【百人一首】(秋風に/七九・左京大夫顕輔)

秋風にたなびく雲のたえまよりもれいづる月のかげのさやけさ
(七九・左京大夫顕輔)

【解釈】


秋の風に雲が流され、たなびいている。そんな雲のすきまから、月の光が切れ切れに差し込んでくる。くっきりと澄み切った月の光の、何と美しいことか。

月のチラリズムを詠んだ歌です。難解な表現はないので、わりとそのまま理解できます。

出典は「新古今集」秋上 四一三。
作者は左京大夫顕輔(さきょうのだいぶあきすけ)。藤原顕輔です。
六条藤家の歌道家であり「詞花集」の選者になるなど、和歌に長けた人だったようです。

まん丸な名月が夜空にぽっかりと浮かんでいる姿ではなく、雲の隙間からふと顔をのぞかせた月の光の、一瞬の美しさを愛でる。

いかにも平安貴族らしい描写、という気もします。またすぐに隠れてしまうからこその光の美しさ、なのかもしれません。

月は年中美しいような気もするけれど、秋の月というのはなぜか特別扱いです。

夜が長くなるのを実感できる秋こそ、お月見シーズンなのかな。夏に比べて湿度が下がってくるので空気がクリアになり、くっきりと月が見えるというのもありそう。

それにしても、今年は札幌でもいつまでも暑く、8月も終わりだというのにひどい残暑が続いています。

冬はあんまり来てほしくないのだけれど、秋が待ち遠しい。
そんな気持ちです。

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