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【百人一首】あしびきの(三・柿本人麻呂)

あしびきの山鳥の尾のしだり尾の
長々し夜をひとりかも寝む
(柿本人麻呂)

【解釈】

山鳥は夜には雌雄わかれて眠ると言われる。
そんな山鳥の長く垂れ下がった尾のような、長い長い秋の夜を、恋しい人に会うこともできず1人さびしく寝て過ごしています。

柿本人麻呂は大好きだけど、百人一首になぜこの歌が選ばれたのかはちょっと不思議です。
この歌よりもっといい相聞歌、恋の歌は他にもある気がする(個人的推し歌は石見相聞歌)し、そもそも人麻呂の歌であるという真偽もあやしい。万葉集には作者未詳の歌として収められています。

それでも定家の時代にはこういう作風が好まれたようです。

前半は枕詞からの壮大な序詞で、言いたいことは「夜に一人で寝てて寂しい」という、ただそれだけ。

悲壮感はなく、本当に人麻呂が寂しく一人でふて寝しているのだとしたら、ちょっとかわいい。
背後からそっと抱きしめてあげたくなるような、そんな愛おしい姿のようにも思います。

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