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【百人一首】誰をかも(三十四・藤原興風)

誰(たれ)をかもしる人にせむ高砂の
松もむかしのともならなくに
(三十四・藤原興風)

【解釈】

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いったい誰を古くからの知り合いとしたらよいのだろう。気づけば誰もいなくなってしまった。高砂の松の木だけは昔と変わらないが、古い友というわけではないのだから。

老齢になり、古くから親しくしていた友人たちと死に別れてしまったさびしさを詠んだ歌です。

出典は古今集、巻第十七 雑上 九〇九。詞書はありません。

作者は藤原興風(ふじわらのおきかぜ)。
生没年は未詳。百人一首では紀友則と紀貫之の間に歌が収められていますから、その時代の人でしょうか。三十六歌仙の1人で、管弦にもたけていたと言われています。

「高砂の松」の高砂とは、現在の兵庫県高砂市。高砂神社の「相生の松」が有名です。

長寿の象徴とされる松の木だけが、自分と同じように長く生きている。
そんな松の木だって、決して心を許せる旧友という訳ではない。

海風が吹き抜ける浜辺の松林が目に浮かびます。
どこかものさびしい風景のイメージとあいまって、リアルな孤独感が迫ってくるような雰囲気がありますね。

ここ最近のコロナの落ち着きぶりから、久しぶりに友人と会食に出られるようになってきました。気心の知れた友達と過ごす時間は、とても楽しくて幸せです。友達、だいじ。


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