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【百人一首】かささぎの(六・中納言家持)

かささぎの渡せる橋におく霜の
白きを見れば夜ぞ更けにける
(六・中納言家持)

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【解釈】

七夕の日に二人の仲立ちをするために、天の川にカササギが翼を並べてかけると言われる橋。
その橋に霜が真っ白に降りるように無数の星がきらめいているのを見ると、夜が更けたのだなあ、と思う。

正直なところ、ちょっと分かりにくい歌です。
「橋」は天の川のことを言っているのではなく、宮中の御階(みはし)を指すという説もあります。
でも、そのまま天の川を見上げて、満天の星空!でも充分に美しい情景です。できれば、そのまま天の川であってほしい。

そして何だか漢詩っぽい趣もあるなと思ったら、張継という人の唐詩「楓橋夜泊(ふうきょうやはく)」の「月落ち烏鳴いて霜天に満つ」というフレーズを元ネタとする解釈もできるのだとか。

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楓橋夜泊と言えば、中国は蘇州、寒山寺。寒山寺へは数年前に行ってその石碑も見たのに、まったく思いあたりませんでした。足りないのは教養、それとも想像力なのかしら。

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中納言家持は、大伴家持のこと。
とは言えこの歌は万葉集にもおさめられておらず、家持作がどうか疑わしいとも言われています。
ともすれば作者も不詳、解釈すらおぼつかないのに何とも言えない独特の風情がある。不思議な魅力を持った歌と言えるかもしれません。

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