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【百人一首】(瀬をはやみ/七七・崇徳院)

瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれてもすえにあはむとぞおもふ
(七七 ・崇徳院)

【解釈】

川の瀬の流れが早いので、岩にぶつかった急流がふたつに分かれる。2つの流れは、後になってまたひとつになる。そんなふうに、今は何かに引き裂かれて別れても、いつか必ずまた君に会いたいと思う。

出典は「詞花集」恋上・二二九 。

作者は崇徳院(すとくいん)。12世紀半ばを生き、45歳で世を去りました。

題知らず、とされていますが、状況説明がなくても充分に分かる歌です。

崇徳院は鳥羽上皇から強引に譲位させられ、保元の乱では後白河天皇に敗れて讃岐に流された不遇の人。怨霊伝説もあり、無念さや強い恨みつらみを抱えていたというイメージもあります。

そのためこれは恋の歌ではなく、いつか返り咲きたいという強い思いを詠んだものと見る向きもあるようですね。

個人的には、恋人との別れを詠んだ歌と解釈するほうが自然というか、すんなり理解できます。

恋しい人とのやむを得ない別れ。でもまたいつかきっと会いたい。事情はどうあれ切ないものです。

そして何よりその思いは、その約束は、たいていの場合において果たされないような気もするのです。

もう2度と会うことはできないと分かっていたからこそ、崇徳院はこんな歌を詠んだのかもしれない。そんな気もします。











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