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【百人一首】みかのはら(二十七・中納言兼輔)
みかのはら わきてながるる 泉河(いづみがは)
いつ見きとてか こひしかるらむ
(二十七・中納言兼輔)
【解釈】
瓶原(みかのはら)を二つに分けて、湧き出して流れていく泉川よ。
その「いづみ川」のようにいったい「いつ見た」、いつ逢ったからと言って、こんなにも恋しいのだろうか。
出典は新古今集、恋一 九九六。
作者である中納言兼輔とは藤原兼輔(ふじわらのかねすけ)のことです。
紫式部の曾祖父にあたり、三十六歌仙の一人でもあります。
技巧が幾重にもなっていてややこしい歌ですが、言いたいことは後半だけ。
いったいいつ会ったから、あの人がこんなにも恋しいのだろう。
この下の句には、ふたとおりの解釈があるとされています。
・実際には一度も会ったことはないのに恋焦がれている
・ずいぶん長く会えていない恋人のことを愛おしく恋しく思っている
一度も会ってない人に向かって、そんなに恋しいも何もないような気もするけれど、文のやりとりなどしている相手に早く会いたい、というのなら平安貴族らしいかもしれません。
ロマンチックな恋ではありますが、会う前からそんなに思いつめられてもちょっと怖いような気も。
夢のような、はかない契りを交わした相手のことが忘れられず、ずっと恋しく思い続けている、というのもいいなと思います。
泉川は現在でいう木津川のこと。京都南部を流れる川です。
みかのはら、は相楽郡加茂町のあたりと言われています。恭仁京がおかれて栄えていた時代にはホットな場所だったのかな。
加茂町といえば浄瑠璃寺がとても好きです。春や秋、いやいつでもいいな。また行きたい。
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