【解釈】
「静かに思へば」という始まりがとても美しい段。リズミカルで無駄がなくて、名文です。
高校生の古典の教材などでもよく使われているのだそうですね。
でもこんなのあったかなという感じで、まったく覚えていませんでした。
大学時代などにも読んでいそうな気はするのだけれど。
ただ、この静かな美しさや切なさは、若い時には読んでも分からなかったのかもしれないな、とも思います。
親しい人、身近な人をなくすという経験も、年を重ねるごとに増えていきます。40歳も過ぎた今となっては、兼好の言ってること、めっちゃわかる!って言えるのです。
キメ顔の写真やオフィシャルな何かではなく、ちょっとしたメモ書きとか、高価ではないプレゼントとか、SNSに上がっている何気ない写真とか、今ならそんな感じでしょうか。
あの頃に戻りたい、とまでは思わないけれど、ふとした時に思い出す。
そういう切なさや恋しさって、誰にでも身に覚えがあるのではないかしら。