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【百人一首】秋の田の(一・天智天皇)

秋の田のかりほの庵(いほ)のとまをあらみ
わがころもでは露(つゆ)にぬれつゝ
(天智天皇)

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【解釈】

秋の収穫を間近に控えて、田んぼの仮小屋で夜通し番をしている。粗末な苫で屋根をふいただけの小屋なので、私の衣は夜露に濡れている。

百人一首の冒頭は、天智天皇(てんじてんのう)。

農民の辛苦を思いやって詠んだと伝えられてきた歌です。

静かでしっとりした趣に加えて哲学的な雰囲気もあって、藤原定家好みの一首、と言えるのかもしれません。とはいえ賀茂真淵以降は、万葉集の「詠み人知らず」の歌を平安時代に改作したものと見る向きが主流のようですね。

袖が夜露に濡れる粗末な番小屋で、ひとり夜を明かす。ものさびしいのだけど悲壮感はないところが良いなと思います。一緒に過ごせない恋しい人を思って詠んだのかな。

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