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テレビ屋気取り #66「あたらしいテレビ」に求められる“人間味”のベクトルとは?


年末年始、面白い特番ばかりでどれだけ時間があっても足りないですよね。

お正月気分で曜日感覚が狂ってしまったため、今週分の「テレビ屋気取り」を更新するのを忘れていました。月曜日に日付が変わった瞬間から書き始めます。



学生生活最後の年末年始はバイト三昧


テレビに関係のない見出しになってしまいましたが、クリスマスの週末からほぼ連勤でバイトをしてしまっている私は、15時から23時まで勤務して帰ってきたら録画やTVerで気になる番組を見返して、朝方眠りについて昼ごろ起きて残りの番組を見返す日々の繰り返しの中で新年を迎えました。

「紅白歌合戦」と「ガキ使」をリアルタイムで見ない大晦日は初めてかもしれません。そういえば、「ガキ使」じゃなくて「笑う大晦日」になったんですよね。これを書いている時点ではまだ見れていないです。

こんなにも働かないといけないのは、新生活の資金が足りないからなんですけどね。

テレビのためにテレビを犠牲にしなければならないというわけですね。



有線から流れる音楽でわかる2021年のテレビ


少し話が逸れましたが、その私のバイト先であるコンビニでは有線の音楽が絶えず流れています。2週間ごとに流れる曲が変わるのですが、年間を通してドラマの主題歌の割合が高く、仕事をしていてもその週のドラマのクライマックスが勝手に脳内で再生されてワクワクします。

1月1日に更新されたプレイリストは、2021年の流行曲ランキングみたいです。

現時点で2日しか経っていませんが、通常よりもお客さんが少なくて比較的余裕がある時間が長かったので、いつもよりも聞き入っています。

直前に書いたことと矛盾するのですが、30位までの中で数曲しかないドラマの主題歌が流れてくると懐かしさを覚えます。

不思議 / 星野源
愛を知るまでは / あいみょん

この2曲が主題歌となったドラマは、2021年の個人的に好きで見ていたドラマの上位に入ります。

「着飾る恋には理由があって」(TBS系)
「コントが始まる」(日本テレビ系)

どちらも各話のクライマックスのいいところで主題歌が流れ始めるんですよね。「着飾る恋には〜」では、「追い源(おいげん)」なんていうワードも話題になりました。


有線からはドラマの主題歌以外の曲も当然流れてきます。
1番印象的なのは、Adoの「踊」です。

「うっせえわ」がヒットしてからというもの、どの歌番組でも特集が組まれているような印象があります。2021年の最後の最後にも「レコード大賞」で特集が組まれていました。

個人的にはある企業の選考で、いくつかある課題曲の中から「うっせえわ」をチョイスして1分間の動画制作を行ったのが思い出です。
締め切りまでの期間が短すぎる割りに全然何も思い浮かばなくて、土壇場で閃いたものを無理やり1分の動画にして提出したところ、思いの外評価が高くそれが内定につながったと勝手に勘違いしています。その企業は辞退したから真相は藪の中なんですけどね。



音楽の偉大さ ーコンテンツとの相性ー


以前にも少し書かせていただいたことがあるかもしれませんが、所属する放送サークルの卒業制作に取り組んでいます。他人発のアイドル企画をなぜか受け持つことになり、収録を終えて2ヶ月くらい寝かした素材をこの年末年始で編集しています。

かなり前に書かせていただいた「あざとくて何が悪いの?」について、ここでは触れなかったのですが、VTRのBGMの選曲にかなりのこだわりを感じています。というか、実際に相当こだわっているみたいですが。

これに感化されたというか、自分も編集するにあたって、”選曲”にこだわってみることにしました。

「この場面はこういうこと言ってるからこの曲がいいのかな」というのを考えながら、曲のちょうど良い部分を当てはめては再生して、「これは違うな〜」と思うことを繰り返しています。
意外とこの作業は楽しいです。

ただ、アイドルに疎い私なので、選曲の幅はかなり狭いです。
もともと二次元のアイドルゲーム 発の企画なのですが、そっち方面は完全に守備範囲外なので、全くBGMは使われていません。

二次元アイドルも三次元アイドルも守備範囲としているメンバーが同期にいるので、そいつに相談しながら進めればいいんですけどね。
ていうか、そいつが編集すればいいじゃんって今思いました。

話が逸れました。

先ほどの有線の話も含め、コンテンツと音楽の相性や親和性に改めて気付かされたというわけです。

2020年に上のような記事を書かせていただいたにもかかわらず、2021年はほとんど「あざとくて〜」を見れませんでした。最初は企画の目新しさや面白さ目当てに夢中になって見ていましたが、やはり当時も薄々気付いていたように「あざとい」というのがあまりにも自分の生活からかけ離れているというか、そこに引っ掛かりを感じないがために、見なくなってしまったと考えます。31日の特番を久しぶりに見たくなりました。

あと、12/27の山里さんと芦田さんのスペースはとても面白く、山里さんの酔っぱらい具合に聴いている側もヒヤヒヤしていましたが、あれはあれで良かったのかなと、また次があることを楽しみにしています。



文化を知ることができる”コンビニ”



コンビニのことに話を戻します。

店内で流れている有線の音楽からもエンタメの流行がわかるように、コンビニには他にもエンタメの要素がたくさんあります。

2021年も相変わらず、「鬼滅の刃」ブームに乗っかったコラボ商品が多く発売され、やはりこれらは当然のようによく売れます。「呪術廻戦」も同様です。
自分より若い世代の小学生や中学生がコラボ商品を見つけるなり、「あっ!」という声を上げ嬉しそうにその商品を手に取っている光景を見ると、その流行具合を実感させられます。

このような代表的なコラボ商品でなくとも、仕事をしながらお客さんが手に取っているものを見たり、レジを打ちながら「この人はこういうのを買うんだ〜」と見たりするのは意外と面白いし勉強になります。

私が働いている田舎のコンビニでも、毎日いろいろな世代の人が出入りをします。買っているものからその人の趣味嗜好や生活スタイルを勝手に想像したりするのもなかなか面白いです。

もう少ししっかりとデータをとって分析すれば、コンビニのビジネスや食べ物に関する消費だけでなく、エンタメの側面でのデータも取れるのではないかと思います。

テレビとコンビニの親和性、なかなかあるのかもしれません。
あっ、なんかそういう番組ありましたっけ…

実はまだ話題の放送を見れていないのですが、個人的に他人事ではない番組だったりもするので、正直見るのが怖かったりもします…

完全な余談でした。
社会人になったらほぼ毎日コンビニにはお世話になると思うので、余裕があったら商品や他のお客さんの様子も観察して、何か得られるものがないかとアンテナを張ることは忘れないでおこうと思います。



楽しみにしていた「あたらしいテレビ」


かなり長々と書いてきましたが、いよいよここからが本題です。
先にも少し触れたように、1/2からこの文章を書き始めましたが、書き始めた瞬間に卒論の口述試験があることを思い出したため、その対策にシフトしてしばらくはこの文章の執筆を中断していました。
ここは4日ほど経ってからの世界線です。

今回、このタイトルで書こうと思ったのは、「あたらしいテレビ」のオンエアを見て考えさせられるものがあったからです。

「新春TV放談」の頃はあまりしっかりと見れていなかったのですが、2020年5月に名前を変えた特番が放送されてからは、毎回欠かさずリアルタイムで見るようにしています。

「あたらしいテレビ」というタイトルが表すように、この番組のあり方自体も常に変化しています。
今回の構成・演出については、Twitter上でも賛否両論の意見があって、確かにいくつかのルームがあってそれぞれの話の軸があるのは少し話が散らかってしまった印象があったし、またそれをMCのかまいたちが見てリアクションするのは多少ややこしさがあったかもしれません。

ただ、「今どのテレビにも引っ張りだこのかまいたちでも知らないことがたくさんある」という構図も意外と視聴者的には新鮮で良かったのかもしれません。

正直、この番組はテレビが好きな人ばかりが見る番組だと思うので、作り手にとっては相当ハードルが上がっていると思います。
そういう人たち向けにマニアックになりすぎても良くないため、誰もが”テレビ”について考えられるように見せる難しさもあると思います。



テレビを見ない若者


いくつかあったルームの一つに、10代の若者の部屋がありました。

社長・インフルエンサー・エンジニア・モデルなど、普通の10代ではなかなか考えられない肩書を持った10代によるテレビについてのトーク。

となるはずが、そもそも彼らはテレビを見ないということがいきなり明らかになる流れに。

これだけコンテンツが溢れている時代だから、10代でも当たり前のように持っているスマホさえあれば、あっという間に時間を消費できるのは納得です。
私は大学で教育について学び、ICT関連のことで卒論を書きましたが、今の高校では当たり前のように授業中に生徒が自分のスマホを見ながら授業を受けています。これを初めて見たときはかなり衝撃的でした。

自分の頃は勉強に集中するためにできる限りスマホと距離を置こうと頑張っていましたが、授業にもスマホが侵食してきていたら、きっと今の中高生はスマホと距離を置こうなんて考えないですよね。

「自分が見たい時に見たいものを選択する」というのが当たり前だからこそ、お茶の間で四六時中流れているテレビを見たり、放送時間にテレビの前に集まったりする習慣がないのも納得です。

今回、このルームが取り上げられたのは一度のみ。
「若者はテレビを見ない」という部分だけが見ている側にとっても印象的に映る結果になったと思いますが、もう少しその先を見てみたいというか、考えなければならないと感じました。

「若者はテレビを見ない」というよりは、「テレビでテレビを見ない」と考えるのが正しいと思います。
本編でも触れられていましたが、テレビの面白かった部分が切り取られてSNSで回ることはよくある話で、若者は部分的にテレビを見ているわけです。

今回明らかになったことを結論から言うと、「内容が面白ければ若者だってテレビを見る」ということです。

「テレビでテレビを見ない」という事実から、TVerでの見逃し配信やリアルタイムでの地上波との同時配信に力を入れたり、地上波の視聴率だけでなく配信の視聴回数なども考慮した番組編成にするなど、テレビも試行錯誤を重ねています。

その成果が表れているかどうかはわかりませんが、テレビのコンテンツに触れるための手段や選択肢が増えたのは、10代ではない自分でも強く実感しています。

ただ、所詮TVerなどの配信は手段にしか過ぎません。

例えば現状力を入れている配信限定コンテンツやSNS展開用のショートムービーに引き続き力を入れることも大事ですが、「配信」というワードばかりに気を取られて、肝心の本編が疎かになってもいけません。

それっぽいことを言いましたが、これは卒論で書いたことをテレビに当てはめてみただけです。でも、そういうことだと思います。

中身にこだわらなければ、今後今よりもコンテンツやプラットフォームが増えるにつれてテレビの存在感は消えていくと思います。

何年経っても、「結局は内容」というようなことを10代社長に言われ続けることになるのではないでしょうか。



テレビに何を求めるか


「そもそもテレビを見ない」と言いながらも、10代の若者たちは「ザ!世界仰天ニュース」や「世界まる見え」が好きと言っていました。

確かに自分もこれらの番組は、彼らの歳くらいの頃にはテレビでついていたら見ていましたが、今わざわざ毎週の放送を見ようとは思いません。

おそらく彼らも、家族との生活の中でリビングのテレビでたまたまやっているから見るくらいの感覚で、それこそ自分のスマホでTVerから見逃し配信を見るほど好きというわけではないと思います。これはあくまで推測ですが。

ということは、YouTubeやNetflixなどのネット配信のコンテンツの中から日頃彼らが”わざわざ”見ているものは何なのか。
それに匹敵するようなものをテレビがどうやって作って送り出していけるのか。

無責任なことを言ってしまえば、ことあるごとに「多様性」と言われるこの時代だからこそ、個人で見たいものはバラバラだから、テレビがそこに合わせていく必要はないのかもしれません。

「俺らはこういうスタイルなんだよ」と独りよがりになってしまうこともひとつの選択肢なのかもしれませんが、やはりそれではやっていけないのが現実です。


急に個人的な話になりますが、私がテレビに求めているのは「人間味」です。

毎週書いてきた「テレビ屋気取り」を読み返したり、自分が好きな上の2つのような番組の内容に注目したりするだけでもそれは明らかです。

「“人間味”ってなんだよ」と聞かれると返答に困るのですが、「世の中にはこんな考え方の人がいるんだな〜」とか「この人の考え方、すごく共感できるな〜」みたいなことをテレビを通して感じさせられることだと自分では考えています。
若者っぽく言うと、「それな〜」とテレビに思わされることじゃないですかね。10代社長に「それな」は古いと一撃されそうですが。


「あたらしいテレビ」の10代がおもしろいと認めたコンテンツは、どれも企画の派手さが目立つもののように感じましたが、ほとんどをちゃんと見れていない私の勝手な想像からすると、そこに映し出される「人間味」が感じられる場面も割と多めにあるのではないかと思います。
そういう部分も含めて「おもしろい」と言っているのならば、若者に向けてこれからのテレビが向かっていくべきところは、私のような「人間味」「人間臭さ」を求めている人たちが面白がることとの交差点ではないかと思います。
それが具体的に何なのかはまだわかっていないので、それを明らかにしていくことが自分にとっての今後の課題です。




「人間味」を味わえるのは二十歳を超えてから!?


また急に話が変わりますが、二十歳を過ぎてから急に涙もろくなりました。

フィクションであれノンフィクションであれ、心の底から共感することに出会うと涙が出てしまいます。

その前兆は、高校生から本格的にどハマりしてラジオを聴き始めた頃から起きているのですが、大学に入って世界が広がり、より多くの人に出会うようになった二十歳頃からより顕著になったような気がします。

今回「あたらしいテレビ」に出ていた10代の彼らが、5年後また集まって”テレビ”について何を語るのか。
もちろん流行が変化するのに合わせて彼らがおもしろいと思うものは変わりますが、それよりも内面の変化がもたらす考え方の変化によるところが非常に大きくなるのではないでしょうか。


数日にわたって長々と書いてしまったので、まとまりがない内容かもしれませんが、また時間をおいて同じテーマで考えてみようと思います。



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2022.01.09 作成

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