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テレビ屋気取り #9「あざとくて何が悪いの?」(2020.11.28)


各局、年末年始の特番の発表がされる頃ですが、その辺の情報には疎いというか、放送1週間前くらいでの怒涛の番宣で「これ面白そう!」となるタイプの人間です。



紹介する番組



今回紹介する番組は、「あざとくて何が悪いの?」です。

テレビ朝日系で土曜21時55分から放送されている30分番組。

出演者は、山里亮太さん(南海キャンディーズ)、田中みな実さん、弘中綾香アナウンサーの3人です。

「"あざとさ"について語り尽くす新感覚バラエティ」というコンセプトで、視聴者投稿を元に世の中にはびこる”あざとエピソード”を再現VTRにして、スタジオの3人とゲストがコメントするという番組です。


最初にも言ったように、私は番組が始まる直前や始まってから番組に注目するタイプなのですが、なぜかこの番組に関しては、3回あった特番の最初から注目していました。(山里さんのTwitterの鬼宣伝のおかげで…)




視聴率意識しなくて何が悪いの?


ここ数回にわたって異常に固執している「視聴率」のお話です。

本当にただの素人の意見で恐縮ですが、特番を見ていた時の私の感想は、
「すごく面白いけど、単発で終わるだろうな〜」
でした。

タイトルはインパクトあるし、自分と同世代の若者なら「あざとい」という言葉はなんとなく耳にしたことあるし、再現Vに出てくる女性たちには男目線でも女目線でも共感できるだろうから、若者にも見てもらえるだろうけど、少し内容が難しいのかなと感じていました。

”あざとい”というワードにはどこか否定的なイメージがあって、それをテレビで取り上げるというのは、今の時代っぽくないというか、どこかから批判が来たりするのかなと思いました。

あとは、単純に「ネタが尽きないのだろうか」という変な心配です。
”あざとい”行動というのはどこかワンパターンな印象で、再現Vにして毎週放送するのは限界があるのかなと勝手に感じていました。


しかし、10月のレギュラースタートから毎週見ていて感じたのは、”あざとい”というのは否定的なんかじゃなくて、むしろ尊敬の対象というか名人芸の領域にあるということであり、そして”あざとい”の解釈は人それぞれで無限であるということです。

だからこそネタが尽きるなんてこともないし、”あざとい”を否定的に見るなんてこともないのかなと思います。

実際、スタジオの3人(山里さん・田中さん・弘中アナ)は、Vを見て鋭いコメントを残しながらも、「決して”あざとい”に対して否定的なことは言っていない」という事実を演出の方がおっしゃっているのを見て、すごく納得しました。


話は本題です。

先ほど、「単発で終わるだろうな〜」と思ったと生意気なことを書きましたが、一番自分の中で引っかかっていたのは「視聴率」の存在です。

「視聴率」が取れなければ番組は始まらないし、始まったとしてもすぐに終わってしまう世の中です。(私はこれがいまだに納得できない)

この番組は若者をターゲットにしている(?)のですが、
若者はテレビを見ていないというのが事実です。

こんなしょうもない企画で駄文を書いている私でさえ、生活の中でテレビの画面に向かっている時間よりもネットコンテンツに触れている時間の方が多いのが事実です。

当然、その状況では「視聴率」は取れません。

若者に見て欲しいと思っているのに、そのコンテンツの良し悪しを判断するのが「視聴率」というのが、これらの事実を踏まえると意味不明ですよね。


そんな中、この「あざとくて何が悪いの?」はレギュラー化しました。

その理由を演出の方もインタビューの中で語っています。

「SNSや見逃し配信の再生数の良さ、それから(放送)事後にネット記事になりやすいといった、視聴率以外の反響が良かったこと。」

視聴率が好調でなくてもそれ以外の要素が判断基準となり得たという事実が、自分の中でずっと引っかかっていた何かをぶっ壊してくれました。

実際、レギュラーになってからOA時間には毎週「#あざとくて何が悪いの」がTwitterのトレンド入りし、放送内容に関する関連キーワードも同じくトレンドに並びます。

そして、放送翌日の日曜日にTVerを開くと、「あざとくて何が悪いの?」が軒並みドラマが並ぶランキングの上位に入り込んでいます。

もちろん番組を作る上で「視聴率」を無視することはできないでしょうが、「視聴率」を意識しなくても番組が成立するというのが、自分的に嬉しかったというか、無駄に「視聴率」というワードに押し殺されている自分にとって、夢がある話で感激しました。


『局所的な熱狂をたくさん作る』

この考え方はしびれました。

実際に自分がここ数年で触れてきたものもまさにそれだし、そういうコンテンツを中の人間として体感しているというのが理由です。

今週登場してきた「リトルトゥース」というワードなんてまさに典型的であり、今私が一番熱中して見ている「あちこちオードリー」もその類のコンテンツのひとつではないかと思います。

「テレビは多くの人に見てもらう必要がある」

こんな古臭い考え方は嫌だなとずっと思っていたので、これで自信を持って「視聴率なんて考えたくないです。ていうか、もっとこだわるべき点があると思います。」と就活の面接で言えそうです。(先日の反省も踏まえて)

Twitterのトレンドは仕組み上あまり信憑性はありませんが、
局所的な熱狂を作ってきた結果として3万人以上の視聴者を記録した「あちこちオードリー」のオンラインイベントは、この考え方の結果として評価されるべきではないでしょうか。

この点について、「あざとくて何が悪いの?」のことを全く理解していない古臭い考え方のネット記事を見かけたので、わかってないなと個人的に思いました。



局所的な熱狂の作り方


ゴールデン帯のバラエティ番組で坂道グループのアイドルを見かけることが多くなりました。

ここ数年になって急にアイドルに興味を持ち始めた人間で、もう自分がアイドルオタクであることは認めることにしましたが、
そんな自分でも冠番組以外で坂道のメンバーを見かけるのは、心の底から素直には喜べません。

「とりあえず人気なアイドル起用しておけばいいか」という制作サイドの意図が見え隠れしていて、なんかそういうことじゃないんだよなと思ってしまいます。

あと個人的に、「リトルトゥース」という単語をテレビで取り上げて欲しくないです。
オードリーさんのレギュラー番組のほとんどで、「リトルトゥース」というワードが登場しましたが、最初は自分たちリスナーしか知らないことがテレビで放送されていることに興奮したものの、それが回を重ねるとクドいといか、オードリーさんもラジオのノリを外に出して欲しくないという話をよくされるので、大丈夫かなと心配になってしまいます。



今週の「あざとくて何が悪いの?」を見た方はピンときたかもしれませんが、今週は私にとってのマイナス要素が一気に番組に放り込まれたのです。

先週くらいに、次週(今回)「あざとくて何が悪いの?」のことをこのnoteに書こうと決めていたですが、次回予告などで「みーぱん」「リトルトゥース」というダブルパンチが繰り出されることを知った時、素直に番組を見られないような気がして、今回この番組を取り上げようか迷いました。


ただ、結論から言うと、めちゃくちゃよかったです。(生意気さと語彙力のなさ)

レギュラー初回で乃木坂46の山下美月さんが再現Vに登場した時も、自分はあまり乃木坂に詳しくないのですが、普段見ている山下さんに限りなく近い気がして、見ていて自然でした。


キャスティングしたタレントにちゃんと向き合って台本を書いている(番組を作っている)ということで、今回のみーぱん(佐々木美玲・日向坂46)についても、すごく研究した上でエピソードやセリフを選んでらっしゃるのだろうなと感じました。

ただ、やっぱり「あざとくて何が悪いの?」のオーディション番組(日向坂で会いましょう)で見ているみーぱんとギャップがありすぎて、山下さんの時ほどの自然さはなかった気がします。

これは、みーぱんと言う人物が特殊で、今のところのこの番組的な”あざとい”とは世界が違うのかなと、個人的には解釈しました(笑)。


リトルトゥースTシャツについても、再現Vの最初に少し触れただけでくどくなく、逆に「リトルトゥース」を知らない視聴者には大丈夫だったのかなと心配になるくらいでした。

局所的なファンにとっては、「山里vsオードリー」という構図を見たいだけなので、山里さんの最初のリアクションだけでお腹いっぱいで大満足でした(笑)。

個人的には、特番の時の「三四郎のオールナイトニッポン」のくだりもめちゃくちゃ好きです。



本題に戻ります。

局地的な熱狂の作り方というのは、こうしたキャスティングで工夫するしかないのですが、この番組がすごいのはちゃんとその人を研究して、その人に合うように作っているとことではないかと、素人ながらに感じています。

局所的な誰かのファンを集めようとしてそのタレントを起用したら、ファンなので当然見る人のハードルは高くなります。

少し前に私が

ただ、やっぱり「あざとくて何が悪いの?」のオーディション番組(日向坂で会いましょう)で見ているみーぱんとギャップがありすぎて、山下さんの時ほどの自然さはなかった気がします。

と生意気なことを書いたように、ファンの目は厳しいです。

局所的な熱狂を作り出して維持していくには、当然この壁を乗り越えなければならないため、手を抜くことはできないと思います。

その中でこの番組がすごいのは、1本のOAで大体2〜3本の再現Vを作ってきていることです。

ひとつひとつ手を抜かずに台本作りから取り組んできているというのは、当たり前にできることではないと感じています。


ただの1人の素人の考えに過ぎませんが、少し楽をするという意味でも、エピソードの投稿者やモデルとなったあざとい女子を再現VTRに登場させられないかなとか一瞬思いました。(いろいろな問題があると思うので現実的ではありませんが…)

テレビでの一般人の底力というか面白さを信仰している者なので…



画面づくり

少し話は変わって、画面づくりのお話です。

今でこそ当たり前のことなので気にはしていませんが、私はテレビのテロップがあまり好きではありません。

意識がそちらに行ってしまうし、自分が動画編集をしていてもテロップを入れる難しさを感じていて嫌いだからです。

ただ、テロップがあることが当たり前になっている今、テロップなしにはテレビを見られないというのが視聴者の無意識のうちの感覚であり、私もその1人です。

テロップに凝っている番組を見ると、すごいなと思うと同時にたまに情報量が多くて気持ち悪いなと思うこともあります。



演出の芦田さんも画面づくりにこだわっていると上のインタビューでおっしゃっていて、「一枚のキャプチャー画像を見て、どいういう場面かが理解できる画面づくり」という考え方に感銘を受けました。

確かに、SNSではテレビ番組の一部分が動画や静止画として切り取られてネタとして使われる時代です。

一目で見てその内容がわかるというのが、現状とマッチしていて、番組への注目を集めるきっかけになるというのはとてもしっくりきました。


画像1

(引用:https://kai-you.net/article/74036)

この番組は、再現VTRの画面を中央に置き、スタジオのメンバーのスキューザーがその両脇に並びます。
そして上の画像のように、VTR中のセリフとスタジオメンバーのコメントがテロップとして載せられています。

正直にいうと、少し情報量が多いのかなという気もしますが、この画像を見ただけで、「男性の帽子のことを触れてあげるあざとい女性」のことを取り上げている場面というのはわかると思います。


画面づくりに関係してひとつ考えたいのが、番組の進め方についてです。

現状は再現VTRを見ながら、スタジオメンバーがコメントしていき、取り上げるべきコメントはワンショットに切り替えるという感じで進んでいますが、ノンストップでサブ出しが行われているため、編集でワンショトに切り替えると、直後にデフォルトのレイアウトに戻した時、スキューザーの中のメンバーは口パクになっています。

番組の進行上何も問題はないですが、再現Vよりもスタジオメンバーのリアクションに注目がいっている人は、この違和感を感じているのかなと感じました。

この一連の疑問を受けて、個人的に他の進行のしかたがないのか勝手に考えていたのですが、
例えば「相席食堂」や後番組の「ノブナカなんなん?」のように、ボタン一つでVを止めてコメントする方法や、いっそうのことVTRを流し切ってスタジオに降りるのもいいのかなとか思いましたが、
どちらもリズムが悪かったり、あざといと感じる瞬間を映し出せないため、今のやり方が採用されているのだと納得しました。とても勉強になりました。



まとめ

いつもに比べてずいぶんと長く、そして生意気な内容になってしまいましたが、
「局地的な熱狂をたくさん作る」という考え方が、もともと自分が理想に感じていたものをうまく言語化してくれていて、とても共感しました。

事実、大学の講義室のすみっこでラジオを聴きながら授業を受けているような、”あざとい”とは疎遠なタイプの私でも、毎週とても楽しみに番組を見ては、山里さんと同じようにうなり、そして今回このような文章を書かせていただいているので、

見事に「局所的な熱狂」の一部にさせられているなと思います。

この熱気を自分の周囲に伝えていく力が私にはないことだけお許しいただきたいです。


画像2


初回のキャンペーンで当選したクリアファイルです。とても嬉しかったのと、オードリーと日向坂案件だから今回このnoteを書いた訳ではないことをお伝えしておきます。




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<今週のコンテンツBEST3>

「相席食堂」

・相席食堂運動会
・「人気番組は運動会をやっている」理論
・相変わらずのイルローザーのインパクト


「たりないふたり2020春夏秋冬〜秋〜」

・前週からの振り幅
・〜冬〜に向けての


「田村淳のコンテンツHolic」


・藤井さんに憧れる同世代の存在を確認
・DVDを手に入れる前に見てしまった「6人のテレビ局員と1人の千原ジュニア」
・一瞬自分も考えてた「VIRTUAL DISTORTION」の枠組み
・知ってたから自分も見ればよかった「Zoom不眠対決」


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2020.11.29 作成

2020.11.30 修正

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