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ESGに関わる"株主提案"についての不思議な現象: 「ESGに関わる"株主提案"について、「一貫性のない事が一貫している」

環境の人達は、『(パリ協定の目標に沿った投融資を行うため・・)という条項を、定款に記載』という株主提案で最近ハッスルしています。

昨年はみずほ、今年は三菱UFJや住友商事に対して株主提案を行い、昨年のみずほでは、助言会社複数社が賛成推奨を行い、賛成票が30%集まったことが話題となりました。

しかし、私にとっては、助言会社の判断に一貫性が欠如し、ESGの本来の有り方についての議論が全く深まっていない印象です。

具体的には、ほとんど同じか全く同じ内容の株主提案に対し、昨年みずほでは賛成推奨、今年三菱UFJでは反対推奨、今年の住友商事では賛成推奨という助言内容です(あとは少し似た内容について関西電力や東京電力では反対推奨など)。

私なりに分析すると、会社側の反対の理由に、「会社法では、業務執行に関わる事項については、合理的、機動的な事務運営を確保する観点から、取締役会の決定に委ねることを基本とする。」という、そんなの当たり前じゃんと言いたくなる、その一言が記載されていれば、同じ提案に対して、その提案に反対、その一文がなければ賛成という不思議な一貫性が認められます。

要は、株主提案の中身は真面目な考察がなされていない(一定の基準での対応がなされていない)、または、それを判断する能力がないのどちらかなのでしょう。

東京電力(彼らも当たり前のことを堂々と記載している)にもヒアリングしましたところ、彼らに対する株主提案に対して助言会社は基本反対推奨で、9割以上の支持が会社側は得ているようです。

事業会社は、当たり前の事を堂々と説明しなかっただけで、社会の悪役に仕立てられるという事を学習した方がよさそうです。

20年程前(プロキシーって何だといった時代で、銀行によるガバナンス機能が低下してきた)、年金は議決権を行使せずけしからんという議論が突如巻き起こりました。

議決権行使は本来的には運用会社の業務ではなく、基金側が行わなければなりません。当時そもそも運用会社が金商法の観点で何を根拠に対応ができるのか?

そんなことも整理されないまま、そんな雰囲気になりました。

一方、パッシブの本音は、そんなフィーはもらっていない。たった2bpsでそんなことをやらされるのはお門違いだという本音がありました。

ただそんなことは、口が裂けてもGPIFなどには言えません。私も、当時ブラックロック(BGI)にて、江口高顯さんをリーダーとして、その対応に迫られました。

対応策として、3期連続赤字とか不祥事、取締役選任、ストックオプションなどのCGのどまんなかの内容については、クリアなプロセスを作成。それ以外は、(1円にもならないことには時間を費やしたくない)、対外的には、総合的に判断したという建付けです。

つまり、結果論としてISSをほとんどコピーする内容で、そうすることで自分たちに100%責任が及んでくることを回避できるのです。

ISSのガイドラインも、運用会社側も、株主提案でここまで低次元の提案が横行することまで想定しておらず、上記プロセスの盲点(プログラムのバグ)のようです。

昨年のみずほにて助言会社が賛成したことを受けて、30%の賛成票到達に驚きました。会社法などを理解しているはずの農中、日生などの運用会社が賛成するというのは、上手く説明ができず合理性を見いだせないからです。

数日考えた結果、「多くの運用会社は、個別の案件は精査せず、ISSのロボットのプログラムを利用して投票している」の結果として、こういった現象が発生するのだという仮説に至りました。このサービスは担当者は何もしなくても、事前にセットした内容に従って、自動的に投票してくれますし、顧客対応の集計表も自動で作成してくれます。結果ISSは儲かっています。

このようなバグが発生する度に、マスコミが煽る。そんな現象が発生しているようです。

“Useful idiots”、これはレーニンの有名な言葉です。勉強もしないアホな人が騒ぐたびに、中国が喜ぶというロジックが現実化しないことを願います。50年単位で見ると、そのような大局感も必要かもしれません。

以上。


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