仕事は続くいつまでも
『仕事の上っ面に囚われなくなったよ』
(ふむ。こちらで理解が深まったのじゃな)
『どうやって成果を出す。そんなことばかり囚われていたもんな。不自由だったね』
(須らく幻想じゃ)
『あはは~たーしかに確かに。そもそも仕事って何だろな。根本から疑わないと、土台がグラグラしてんだからいずれ倒れちまう』
(何故この仕事か。偶然はないのじゃ)
☆☆☆
こんにちは!
フジミドリです♡
今回の私物語は仕事について二巡目。仕事の奥に気づきが潜むと悟った前回でした。
守護の神霊が私のために呼んで下さる指導霊との対話であるこの幽界見聞録。
なんか怪しいとお感じなら、幻想小説としてお読み頂ければ嬉しいご縁です。
では早速──
☆☆☆
『選んだ仕事に偶然はないか。うーん。理屈はわかるんだけど実感できないぜ』
(さもあろう。眼前の業務を遂行するに汲々として、それどころではあるまいて)
『マジそうだわ。残り何年かって今頃、ようやく振り返る余裕が出てきたもんね』
(振り返る言うても、何もかもぼんやりしておるのじゃ。どうしてこうなったか)
『バレテーラ。論理的に考えようとしても、面倒臭くなってついウトウトしちまう』
(ここでは眠くなどならんのじゃ)
☆☆☆
突然、目の前が拓けた。
無限とも思える様々な映像が同時に浮かぶ。中の一つに意識を絞れば認識できる。
ああ、そんなこともあったなぁ。
これまで私が為した全て──たとえお金を得ていなくとも仕事であるというのだった。
幼児は眠ることが仕事。失業中でさえ、次を探すという仕事に就いているのだ。
家事手伝い専業主婦はもちろん、引き籠もりのニートでさえ立派な仕事だった。
☆☆☆
『なるほど。生まれてから死ぬまでに為した何もかもが仕事なのか』
(うむ。知らんでおる者も多いが、仕事とは仕える事。お主は誰に仕えたのじゃ)
『え……そうだな。オレは長年、塾の先生だった。誰に仕えてきたんだろうね』
(生活、つまり金のために働いておったら、仕える相手は金じゃ。自覚あったかのぅ)
☆☆☆
やれやれ。オレはこれまで金に仕える従者。いや奴隷だったのか。暗澹たる気分だ。
─金が敵の現界さ─
親父は生前、よくボヤいてた。
はあ、もうやってらんねえよ。収入や資産で峻別される世界にはうんざりだぜ。
せめて眠りの中、幽界にいる間は、金の縛りから解放されていたいものだと思う。
☆☆☆
(ほっほっほ。そうもいかんのじゃ)
『おいおい、待ってくれ。まさか……』
(そのまさかじゃよ。逃れられんぞ)
『トホホ~マジか~勘弁してくれよな』
(肉体を脱ぎ捨てた後で、本来の姿に戻った霊魂は、何を頼りに生きていくか)
『む……生きてる間に、決まってる現象を見て聞いて得た理解が力になるんだよね』
(ならば問う。理解とは何であるか)
『う……そりゃまぁなんて言うか……』
(ふむ。わかっとらんようじゃ。では)
『ゲゲッ。な、なんじゃこりゃああ』
☆☆☆
一気に流れ込んできた。
五感を超えた観覚である。
膨大な情報に取り巻かれた。幽界にある霊魂──幽界人と呼ぶのだろうか。彼らの営みが鮮明な臨場感を伴って押し寄せてくる。
圧倒された。
そうか。そういうことなのか。
金を稼ぐために、嫌なことやら辛い思いやらも仕事だから我慢する。そんな理解ならば、同じ世界が延々と続くのだ。
ウソの笑いで胡麻化して、ストレスは遊びで発散させるのが仕事。そう理解するならば、いつまでもたっても終わらない。
果てがないのだ。
☆☆☆
『ひええ~おいおい、やめてくれよ』
(お主が理解した通り顕われるのじゃ)
『いや、でも、ちょっと待ってくれ』
(現象に顕わして確認しておるからな)
『いや~参ったぜ。オレは……これまで人生に起こった全て、オレが理解した通り?』
(そうじゃ。法則は完全完璧で間違いなし。何一つとして言い訳できんよ)
『うーん。なんというか。もっと自由自在に生きたいね。いろんな束縛から解放されて』
(ならば、そう理解するがよい)
☆☆☆
─できるのか、そんなこと─
(お主は神の分け御霊。忘れておるのじゃ)
『でもなぁ……あ。思い出すのが仕事?』
私の中真は神なる法則であるという。雑念を祓い、本来の自分に戻れたら、それこそ私が仕える相手だろう。
(そうじゃ。本来の自分自身をな)
『やれやれ~隠れていやがるんだね』
(気づけばよい。顕われてこよう)
『引っ張り出してやろうじゃないの!』
☆☆☆
お読み頂きありがとうございます!
次回の私物語は11月8日午後3時です。
木曜朝8時、西遊記でイラストの朔川揺さんと創作談話をお届け致します。
是非、いらして下さい♡
ではまた💚
ありがとうございます🎊