息吐けば神入る在り方

私は厄災わざわいよ。

この星で起こる地震と津波、暴風や洪水、火山噴火に彗星落下。どれもこれも私。

ああ。そうそう。忘れちゃいけない。
戦争さつりくと飢饉ききんと感染症ウイルスもあったわ。

私は自然現象。

人の思考と感情が私を創り出すの。仕組みを知らないと、ただ怖がるだけね──

☆☆☆

こんにちは。フジミドリです。

今日の私物語わたしものがたり、地球上に起こる厄災の視点から見えた風景を描きます。

小説で随筆で評論。そして、どの枠にも収まらないので、私物語と名づけました──

☆☆☆

嫌われてるの、私。

まぁ、仕方ないけど。避けようがないもの。脅威に感じるでしょうね。

でも──

私は、人の思考と感情が積み重なって力を得るのよ。力の元は、この星であちこちに溢れ返ってるわ。

─こんなのやってらんない。
─どうにでもなっちゃえ！

思考と感情は、外へ吐き出されても内へ沈み込んでも、波動として蓄積されるの。

いつか決壊するわ──

☆☆☆

大きなことではなくても。
むしろ些細な行き違い。

ちょっとしたズレ。足りない一言。あるいはよけいな警句ことば。それで気持ちが重ならない。

仲間だと大事にする。それ以外は無視とか。偏った愛情が憎悪に反転したり。そんな思考と感情は、積み重なって渦を巻き始める。

わかってほしいの
私を見て気づいてよ
何が真まことの原因か

☆☆☆

そうね。わかる人、気づく誰かはいる。声を上げ、周りに知らせていたわ。

『少しの思いでも集まれば、大地は揺れて天も轟とどろくんだ。戦いくさや疫病は、憎しみや悲しみが集まって引き起こす』

いつの時代も少数派。
真相を知る人は敬遠されるの。
迫害されたりもして。

叡智えいちの言葉に取って代わる科学と技術が、私の外見や行動だけを誇らしげに説明すると、多くの人は取り込まれてしまった。

☆☆☆

科学の説明で辿れない真相。
人の思いが私を生み出す。

ふと感じた疑惑うたがい。仄ほのかな羨望うらやみ。チリっと焼けつく嫉妬ねたみ。沸騰する憎悪にくしみ。一瞬の殺意死ね！。そんな思考と感情が、私に力を与えてくれる。

信じられない？

そうよね。
見えないもの。

誰の思いがどう影響するかなんて、わかるのは私だけ。教えてあげたら驚愕ビックリだわ。

だって、暗い思考や感情だけじゃない。明るい思考や感情も私を創り出す──

☆☆☆

もっと沢山いっぱい、もっと強く、もっと速く、そしてもっと幸せに！

そういう思考や感情は、今の自分を否定する思いに通じるわ。比較対象となる人を貶おとしめてもいるのよ。

愛情は束縛と背中合わせ。

大切な人を守ろうと力りきめば、前提として奪う敵が必要になる。つまり自分の思いで、守る誰かと奪う敵を同時に創り出すの。

☆☆☆

私は厄災。
大勢たくさんの命を奪う。

だから嫌われる。恨まれて憎まれて。みんな私のせいなの。私を呪う人だっているわ。

けれど、その思いも蓄積される。
次の私を生み出す仕組みよ。

☆☆☆

私を撲滅するなんてムリ。

だって、原因が理解できないんだもの。人の発する思考や感情が積み重なって私を創る、その仕組みに無知なのだから。

私と闘うなんて自殺行為。

大地で伸びる自分の影と競争して、鏡に映る自分の姿を罵倒するようなものだわ。

ムダなことよ──

☆☆☆

けど、こんな会話も聞こえるわ。

「先生、知ってますか、富士山爆発の予言」
『あらま。ネット動画でも見たのかい』
「はい。これってマジくそヤバいですよ」
『やれやれ、最近の小学生ときたら』

「どうすればいいんですか」
『あはは～どうしようもないね』
「そんなぁ、助けて下さい！」
『あのさ。人間、最後はどうなる？』

「え。最後ですか」
『誰もが行きつく先だよ』
「えっとまぁ、死んじゃいます」
『うん。死ななかった人はいないの』

「そりゃそうですけど、先生」
『もし、死ぬのが悪いことなら』
「これまで死んだ人、悪者わるものですね」

『死んだらどうなるか、誰にもわからんさ。最期さいごに、ああいい人生だって呟けば、それでみんなチャラになるんだよ』

「チャラ。マジですか」
『そう。チャラ差し引きゼロなのさ』
「チャラいですね」
『うん。チャラいよ』

☆☆☆

ふふ。小気味こきみいいわ。

こういう人って私は避けるの。だって、私が襲い掛かっても変わらないから。

死を恐れない在り方
坦々と生きていく

何が私を創り出すか知ってるわ。自分に大きな力が潜んでいると理解さとりを得たの。

だから他者を批判変えようとしない。内なる自分の声に従う。細胞が喜ぶように生きる。

☆☆☆

『息を吐いて。お腹へっこむまで』
「ふぅぅぅ～フゥゥゥ～Huuuu」
『不安な気持ちが出ていくよ』
「すぅぅぅ～はぁ苦しかったぁ」

『吐けば必ず入ってくるのさ』
「なんかスッキリしました！」
『最期は吸って逝いけばいい』
「あ。息を引き取るって」

そうよ。外へ出せば内に入る。自然神なる法則の摂理ことわりだわ。私は自然現象。形に顕われた私を見て。

心の耳を澄ますなら
叡智の囁きが聞こえるわ

☆☆☆

「先生、アレ５６７が只フツーの風邪ってホントですか」
『そうだよ。もうみんなわかってきたな』
「じゃあ、大したことないんですね」

『あのねぇ、只の風邪こそが怖いんだ。舐なめちゃいけないよ。自然が警告してる。理解しなさい、生きてるだけで奇跡って』

「マジくそ熱が出ました」
『今までなかった？』
「バカは風邪ひかないって」
『予防接種ワクチン打ったからとか』

「あっはっは。そんなバカな」
『だよね～あはは～あはは～』
「予防接種で弱くなるなんて」
『もちろんさ。あるわけない』

「……あっはっは……」
『あはは～あはは～』

イラストは朔川揺さん💖

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お読み頂きありがとうございます！
シーズン２残り４回です。

次回は１１月２０日午後３時☆
明日午後６時、西遊記で創作談話プロセストーク♡

ではまた💚