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Managing Inner Conflicts-心のカオス

父が亡くなってから、ジェットコースターのような日々を送っている。娘の新学期に合わせて一旦ラスベガスに帰ってきて、一旦仕事したりなんかして、明日からまた日本に帰る。今回は49日法要を無事に終わらせる、それがミッションだ。

言っても仕方ないことは言わない方が省エネだと思って生きてきた。
自分の力で変えられないことは諦めて、目の前にあることを粛々と執り行っていく。特別な力もなく、冴えた人間性もない私は、ただ、良き人でありたい。だからこそ、わがままな自分自身をコントロールして生きなければ。と、頭では考えながらも、心は理性を嘲笑うかのように身勝手に動くもので。思っているようなスマート大人になれない。

例えば、父が夢に出てきた朝。実家の団地から、私がアメリカに帰る夢。
笑顔で玄関まで見送る父。待って、このままさよならするともう会えなくなるよと引き留めるところで夢が覚めた。触れた手の感覚がリアルすぎる。

夢は脳がストレージを整頓する時に見る現象だ、魂があって会いにきてくれたなんてあるわけないと思考する。
さあ、朝ごはん作ろう。娘を学校に送っていこう。たまった洗濯物がある、食材を買いに行かないと明日、仕事で家を開ける時に夫と娘の食べるものがない…頭ではサクサクスケジュールを思い浮かぶのに、体が全く動かない。このまま布団にくるまって、現実逃避をしたい。1週間くらい、眠って過ごしたい。魂はある、父はきっと見てくれているはずと信じたい。でも見てくれているなら、なぜ母はまだ心が壊れたまま、精神病院に入院している?魂があるなら、なんで父は母を、映画のハッピーエンドのように助けてくれないのだ?脳に電流を流したって、父を亡くした穴が埋まるはずないのに。なぜ、雪崩のように、次から次へと問題が?

私は大人だ。こういうカオスが体の中に巻き起こっていたって、
結局、ちゃんと起きる。娘の身支度をする。宿題を見る。ご飯を作る。
仕事に行き、家を掃除し、公園に行く。ただ、夜はしっかり、眠れない。

私は、自分をコントロールするために、努力ができる大人だ。
これは時が経てば克服できるということも知っている。
理解して、体を動かし、自分に言い聞かせて、やっていける。
それでも、いつまでこれが続くのか、と不安で頭がおかしくなりそうだ。

正直、誰かに話したところで現状が変わるわけでもないし、
慰めて欲しいわけでもない。無駄な労力が嫌いな、利己的な私だから、
繭の中にこもって、このカオスが過ぎ去るのを待っている。

ただ流石に、夜が眠れないが続くのがしんどくなってきて、
アメリカの保険会社が提供しているオンラインカウンセリングを受けてみた。知り合いに愚痴を言って迷惑をかけるのは嫌だけれども、
「王様の耳はロバの耳」的に、吐き出したかったのである。

初老の優しそうな、カリフォルニア住まいの女性カウンセラーは、
私の話を聞いて、深呼吸のすすめと、ちょっとした認知行動療法の資料と、
ちょうどいい距離感の相槌をくれた。それがちょうど、よかった。

彼女は私の状況を復唱する際、カウンセラーらしく端的に"Inner conflicts"という言葉を使った。日本語で言うと、内的葛藤。
あまりに的確な表現すぎて思わず笑ってしまった。

そうだ、私はInner conflictsを抱えている。
現実を受け入れたい気持ちと、現実から逃げたい気持ちと。
日々の仕事をこなしたい気持ちと、一生布団にくるまっていたい気持ちと。
友達に会いたい気持ちと、誰にも会わずに一人でいたい気持ちと。
母の心を壊した父を許せない気持ちと、父を慕いたい気持ちと。
やるだけやったのだと納得したい気持ちと、不甲斐ない娘だったという気持ちと。
魂なんて現世で生きる私たちの妄想でしかないんだという気持ちと、父は天国できっと、きっと、私たちを見守ってくれているという気持ちと。

正直、これがどうなるかは、どうでもいい。
否、流れに身を任せて、日々を過ごしていくしかできない。
一生懸命、騙し騙し、毎日を過ごすしか。

ただ、
この内的葛藤の絡まった糸たちがいつか、
ほどけてきれいな織物になった時に(そう望んでいる)
ほら、やっぱり時間が解決した(もしくはしなかったじゃん!)
という観察のために、noteに書いておこうと思った。

※半年後の追記
半年前、下書きを殴り書きしていたことを今日の今日まで忘れていた。
母は退院し、年末に生まれた姉夫婦の可愛いベイビーちゃんにパワーをもらって回復している。
私は騙し騙し日々を過ごしていくうちに、心の大波が小波になり、
そして今は穏やかな海を航海しているようなシーズンを過ごしている。
だからもし、このnoteを見ているあなたが、
私と同じようなInner Conflictsを抱えていらっしゃるとしたら。
大丈夫、きっと乗り越えられるよ、という気持ちも込めて
恥ずかしながら公開することにしました。


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