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話のプロポーションを改善する【エッセイ】

毎日エッセイを書き続けて50日が経ちました。
小さくて確かな達成感を得つつ、「よしよし、まだ自分を裏切っていないぞ」という妙な自己弁護めいた安心感もまた感じています(もっと素直に喜ぶべきですね)。

ぼくは3ヶ月続けていた朝のジョギングの習慣をピタリと止めてしまった実績(?)があるので、こと〈継続力〉というものに関して、まったく自分を信頼していません。お恥ずかしいかぎりです。
それでもこうしてnoteを書き続けているのは、書いたものが多少なりとも人の目に触れているからだと思います。
「肌と肌の触れあう場所に魂がある」とメルロ=ポンティという哲学者が書いていますが、文章を読んでもらえるというのは、それに近いように思います。テクストという肌を介して、書き手と読み手の魂が触れあうイメージがぼくにはあります。

と、何だか気取ったことを書いてしまいましたけど(すみません)、継続して記事をアップしていると、それなりの数のビューやスキをいただいて、素直に嬉しいなと思う反面、自分の書いているテクストの穴、欠点みたいなものが嫌でも目についてきます。

穴は数え切れないほど空いていますが、最近は特に話の〈プロポーション〉の悪さが気になっています。

ぼくは執筆にあてる時間を、1日2時間としています(でもまあ往々にして伸びています)。
仕事が終わって夕食を食べ、キーボードの前に座って、思いついたことを、思いついたところからダラダラと書き始めます。ひとつのパラグラフを書き、そこから思いついたことを足がかりに続きを書き足していきます。パラグラフからパラグラフへ、連想ゲームのように書いていきます。(あるいは、豚骨ラーメンの替え玉のように書いていくとも言えます)
2時間だと、ひとつの記事が2000文字前後に落ち着きますが、1300字から1600字に差し掛かったあたりで、自然と転換点が発生します。

これがぼくのクセなのか、平均的な文章とはそういうものなのかよく分かりません。
ただ、どうやらこの転換点が、自分がそのとき書いているテーマの〈芯を食っている〉ことが多々あります。書き始めた時は自分でも気が付いていないのですが、キーボードを叩くことで知らず知らず掘り起こされているのです。

例えば、一昨日書いた『渋滞を好きになったわけ』という記事があります。

前半〜中盤は渋滞に関するエピソードをつらつら書いていますが、全体の四分の三、転換点に差し掛かったあたりで、カーラジオから聞こえてくる方言交じりの人の声に癒やされるという話になります。
そのくだりを書いた時、「ああ、ここを書きたかったんだ」と気が付きました。話の芯はここにある。それまでの文章は、結果的にここを自分の内側から引き出すための前段に過ぎなかったのです。

ならば、ここを中心に据えて構成を手直しして、ただ人の声が孤独を救うという主張を掘り下げていけば、よい話になると思うのです。
しかしながら、もう全体の四分の三を書いてしまっているので、ぼくには与えられた時間と気力体力が尽きております。
結果として、前段が長く、いいところが来てもすぐに終わるという胴長短足な話になってしまったと思います。

これを改善しようとして、昨日かいた『怒りってなかなかコントロールできません』という記事では、まず最初に箇条書きで4行、簡単な構成を考えてから書き始めました。

しかしあらかじめ考えた構成にはめると、何だかダイナミックさが感じられませんでした。
うまく当てはめようとして、美味しい肉の部分を無意識に削いでしまったのだと思います。
後半をボツにして、奥さんのくだりから自由演技を始めました。いつものように思いついたことを書いていきました。
案の定、全体の四分の三を書き終えたかというところで、元々まったく考えてもいなかった、T先輩の思い出話が頭に浮かびます。
そのエピソードを綴った後でこう思いました。この若くしてアンガーマネジメントできていたT先輩の話と、「人間の成長と、怒りの発露は表裏一体」という主張を絡ませて書けばもっといい話になったのでは、と。
それにエピソード自体も、タイムリミットのために端折ってしまったけど、もっと詳細に書けば面白くなるはず。

あらかじめ構成を考えようと考えまいと、初稿そのままで出している限りは、話のプロポーションは良くならないのでしょう。
ならば毎日更新というかせを捨てて、更新は2、3日に一回のペースにし、初稿の書き直しを必須とするというのがよさそうです。
ただそうすると結局、3日に一回しか書かなくなってしまいそうで怖い。
ぼくは夏休みの宿題を7月中と8月31日にしかやらない。最終的に提出は9月の2周目という、最初は調子良くて、途中で自堕落になり、最後に泣きながらケツを拭くタイプの子どもだったので。

人に見せるわけではないが、毎日書く。書いたものを初稿として、書き直しをする。第2稿、第3稿を上げる。
今までにしたことのない挑戦になりますね。何しろ面倒くさがりだからなぁ。
書くことを習慣化するために、90日までは連続投稿をしようと(勝手に)決めていますので、初志貫徹を目指しますが、毎日投稿それ自体が目的ではないので取り違えないよう気をつけたいです。
あと、「適当でええんや」ということ忘れないように。あまり追い込まない。
いい大人は自分で自分のご機嫌を取るのが、たしなみでありますゆえ。




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