![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88910649/rectangle_large_type_2_3a533625a1bf75ff317d616cb588b7e9.jpeg?width=800)
【小説】SNSの悪夢
会社に入ったら、直ぐには出てこないだろう、こちらもカフェでも入ってゆっくりしよう。
そう考えてビルの見える位置にあるカフェに入ってゆく、昨今の流行りの明るくて注文しやすいカフェで、ビルが見える側に大きな窓が有った、中ではホンの小さい音でポップスを掛けていた。
「いらっしゃいませ。」女性が水と使い捨てのおしぼりを持ってくる。
この店にはモーニングセットがある、それを注文する人が多いのか、直ぐに「お決まりですか?」の声。
「後で良いですか?」座ったばかりなのにと思いながら答えた、窓の近くが開いていて良かった、そう考えながら座っていたので、何を頼むか考えて無かった。
窓からビルを見ながらコーヒーを頼む、5階だったな、どんな仕事をしているんだろう、窓からでは何もわからない。
自分が不倫しているって騒いでも、あいつには本当の事が解らない様に、俺にもあの中は見えない、仕事してるんだろうくらいしか解ってないのだ。
あいつはそれでも騒ぐんだよな、コーヒーが来るまでボンヤリと考えていた。
「お待たせしました、ご注文のブレンドコーヒーです。」さっきの女性が持ってきた。
「ありがとう。」声を掛け乍ら見続ける、何の仕事かは知らないが、出てきたら付いていって調べてやる。
意外と本人が不倫してたりして、同族嫌悪ってあるからな~、暇だからゆっくりコーヒーを飲む。
これを飲み干したらどうしよう?
長時間粘るのも問題だしな、取り敢えず一度出て昼頃また来るかな、考え事で味も解らない。
問題が起きてから、食べ物の味を云々考えた時間が無いと気付く、人間は何が在っても食べて寝ないといけないが、ただ単に食べて寝るってだけだと、生きている感じがしない。
生活が奪われるってのは、生が奪われるって言っても良いんだな、ぼんやりした頭で考え、コーヒーを飲む。
朝早いし人を付けなければならないので、ここは出て違いところでビルの出入りを見るとしよう。
「ありがとう。」とレジを済ませると、次の場所を探しに出て、ビルの入り口を見つめている。
「あの~、もしかしたら俳優さんじゃないですか?ドラマで見かけた気がするんですが。」と歩いていると声を掛けられた。
ファンは有り難いが、名前も覚えて貰ってないんだから、俺はまだまだだな、これで長期に休むと、忘れ去られるのが目に見える。
それでも、ここは俳優だと知られない方が良い、声がした方にゆっくり振り向いて、こう言った。
「誰かとお間違いじゃないですか。」
「すいません、そうだよね、テレビ出てる役者さんが、こんな所に居る訳ないよね。」と返ってきた。
文を書くのを芸にしたいと思っています。 頑張って文筆家になります。 もし良かったらサポートお願いします。 サポートしていただいたら本を買うのに使います。 ありがとうございます。