【小説】SNSの悪夢
彼女からの連絡は直ぐに来た、自分の連絡を持っていたのだろう。
『解りました、駅の方に向かいます、駅前にいらっしゃいますか?カフェに居るのであれば、そこに行きますが。』
今は外をぶらついている状態だ、わざわざカフェに入ったりはしない、駅近くに居ると言って連絡をしよう。
『今は駅の近くをぶらついて居ます、近くに来たらまた連絡を下さい、その時に待ち合わせ場所を決めましょう。』
彼女もすぐには来ないだろう、それよりも何処まで信じるのかが、問題になる、自分を知っている人間は敵と思っても良いかも知れないのだ。
『はい、また連絡します。』
時間が空いたが又すぐに連絡が来るはずだ、暇に任せて見回すと、昨今では駅の近くはどこでも一緒になりつつある。
大きさは様々だがロータリーの様なものがあって、百貨店だったり、スーパーだったり、買い物が出来る場所が在る。
考えると、それ以外は見かけない、憩いの為に木を植えたりするのは、管理が面倒な上、車から道が見渡せないと文句が出ると聞いた。
実利的なものだけを大事にしていたら、人間の潤いは無くなるんじゃ無いのかな。
SNSもギスギスしているもんな、全ての人間に余裕が無くなっているんだな、考えながら連絡を待っている。
パッパー、パッパー、クラクションの音が響く、誰かが車でイライラしているのだ。
時代自体が荒んできている、誰もがぶつける事が出来ない怒りを貯めている、自分はそのギスギスの被害者だ。
被害者が加害者になるのか、許したくなる自分に言い聞かせる、絶対に許してはいけない。
『駅の何処にいらっしゃいますか?近くまで来たんですが?』
彼女からのメールが来た、キョロキョロと見回すが、自分の近くには居ない。
『駅のロータリーの方です、それで解かりますか?』
探し回るのは避けたいが、これで解るのだろうか、駅に向かう人の流れと、バスを待つ人の流れを大まかに見て、彼女を探す。
「立花さん、此処に居たんですね。」ニコニコと笑いながら、こちらに向かってくる。
彼女は自分の名前を調べてきたようだ、朝の段階では俳優さんと言っていたのに。
信頼するのは間違っているかも知れない、咄嗟に頭に浮かぶ、俳優をしていると人間の表情は信頼できなくなる、だからと言って会う人間全てを疑うのは自分の精神衛生上には良くない。
まあいい、話して居れば、彼女の真意も分かるだろう、自分もこれ以上は落ちようが無いしな。
「お疲れ様、仕事は大変でしたか?」こちらもニコリと笑顔を返す。
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