見出し画像

人間の怖いもの

子供と云うものは、大概が知らない事には怖さを感じる、少なくとも私はそう考えている。

子供の時に家の中の暗い場所に、誰かが居る気がして、そちらに行けなかった事は無いだろうか?

私の場合、親が最初の家を建てている時に、一時的に親戚の家の離れで生活したことがある。

この家が本当に怖かった、

親が居る時以外は入りたくないと思うほど怖くて、それまで明るい社宅に居たのに、なぜこんな所に来たんだろうと思っていた。

「おかあさん、こわい。」と言った記憶がある。

何だか解らないけど怖い、その家が暗かったり、きしむ音がしていたからかも知れない。

私が怖がると、母は「何が怖いの??何にも怖いこと無いやん。」と答えていた。

その時の何が怖いって言うのが、その頃は明確に答えられなかったから、答えられなかった。

今なら強風の音だったり、家の中の暗い場所だったり、これまでなかった置物とか、自分の知らなかった事には怖さを感じる。

それがいつの間にか、怖くなくなって、子供時代の感覚から変化していく。

大人に成るというのは、その怖かったことを克服して、今の自分を安全と感じて生きる事なのかも知れない。

そもそも、怖いって何だろうと思う。

大人に成っても怖がりの人は居るし、子供でもあまり怖がらない子もいるが総じて子供は怖いものが多い。

人間が怖さを感じるのは、生が大事だからかも知れない、だって自分が死ぬことが怖く無ければ、何が怖いとなる。

大人に成ると、怖い物は子供とは違って、病気だったり、貧しさだったり、人との関わりだったりが怖くなる。

子供時代の何かがあるとか、何にも無い暗い場所とか、虫とか、物に対する怖さよりも、世間には怖い物が有ると解って来るからかも知れない。

この違った怖さは、自分が生活をするのに、難しくなるという、想像的な怖さなんだろうな。

「お母さん、この記事怖ない?」次女と話していると、彼女はそんな風に声を挙げる事が有る。

「何か怖い記事有った?」と聞いて於く。

「何かさ、投資詐欺で5000万以上取られたって話が書いてあるよ。」ロマンス詐欺とか、投資詐欺とか詐欺も忙しそうだ。

同じ記事を見ると、四日市の女性が投資詐欺にあって、1600万のお金を取られて、返して欲しいと言うと、お金を振り込まないと引き出せないと言われたという話が乗っていた。

大変やなー、このお金無くなったんなら、怖いことやなーと考えた。

「でもさ、引き出すのにお金がいるって納得したんやね。」と娘に言った。

「何でそれ言われて出そうと思うんかな~?」次女も不思議そうだ。

「東海財務局に話をすると言っても駄目やったやろね、だって財務局に関係する機関ならもっとちゃんとするもんね。」と話すと。

「詐欺やからな~。」と返す。

昔、保険の解約で『東海財務局に電話を入れる。』と言ったことがある。

保険って、下取りの制度が有って、それで新しい保険が安くなっている気がするのだけど、実は下取りって事は、以前の保証の部分を引き継いでいる。

「保険は解約する方がお得なんです、だって昔の保証は要らないでしょ、解約の方が絶対に得ですよ。」外資系の保険会社の営業も教えてくれた。

実は保険は解約して、解約返戻金を貰って、新しく入った方がお得なのだ、少なくともその頃はそうだった。(今の保険は調べて無いので解らない、20年以上前の話です)

その時に、解約して払戻金が欲しいと言うと、いつまで経っても解約してくれない。

挙句の果ては、来てくださいと言ってくるので、行って書類を書いて来ようと考えていたら、全然解約の書類を出してくれない。

外資系の保険の営業さんに相談したら、東海財務局に電話入れると言ったら良いんですよと教えてくれた。

「銀行が解約の書類出さなかったら問題でしょ、保険会社も金融機関なんですから解約できませんは言えないんですよ。」

そこで、『東海財務局に電話を入れる。』と伝家の宝刀を抜いた。

言わなくても処理して欲しかったけどね。

それを言ったら、今迄見たことも無い男性が家に来て書類を整えて行った、出来るんやん。

彼にとっては私はとっても怖い人だったんじゃ無いかな。

そう言えば、我が家の近所にウナギ屋さんが出来たのだ、有名な所なのか知らないが、開店の日にはお客さんが並んでた。

何を隠そう(何にも隠していないけど)私はウナギが大好きで、ウナギ屋さんは行ってみたい。

だけど節約中の我が家にはウナギはちとお高い。

うーん3000円くらい要るのか、これは駄目やね、次女はウナギなんて希少動物食べる必要ある??と言ってくる。

そうか~、そう言われれば、敢えて食べる必要は無い、単に私がウナギ好きなだけだ。

ウナギを食べるのは諦めたのですが、家から出て買い物に行くと、そのお店の前を通ったりする。

ウナギの焼ける匂いが美味しそうで、つい大きく吸い込んでしまう。

でも買っちゃ駄目だ、買っちゃ駄目だ、ウナギ一本で数日分の食費になる。

そんな訳で、ウナギ屋の匂いが怖いってのも、今の私にはあるかな。

ウナギ屋怖い、ウナギ屋怖い。

ウナギの焼ける匂いと餃子の焼ける匂いは、何故食べたくなるのかな??


文を書くのを芸にしたいと思っています。 頑張って文筆家になります。 もし良かったらサポートお願いします。 サポートしていただいたら本を買うのに使います。 ありがとうございます。