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【小説】SNSの悪夢

彼女を探すのは骨が折れた、自分は彼女の何を見て、何を知って居たのか?自分に問いかけてみる。

本当のところは何も知らなかったのだ、彼女の気持や考え方を想像したことも無かった。

彼女も自分にぞっこんで、だから結婚して一緒に居るんだと、信じて疑わなかった。

夫婦は親や兄妹よりも近い存在で、他人であって他人で無い愛情というもので繋がったものだと考えていた。

それが間違っていたのかも、彼女に聞かなければならない、彼女の方は好きでさえなかったのかも知れない。

難しくても彼女を探して、連絡を取らねければ、炎上の火種になった発信の意味も聞きたい。

この時代は人間1人確実に居なくなる事は出来ない、何処かに足跡を残している筈だ。

探していくと彼女の居場所は見つかった、だからと言って、そこに出かける訳にはいかない。

行った所で未練がましいとしか思って居ないだろう、自分のしたことがばれているとも知らないだろうしな。

それに急に行って不審者扱いされては堪らない、ここは彼女のメールや電話番号に連絡すべきだ。

彼女から返事を導かなければならない、急に出て行って自分とは話したくないのだろうが、夫婦はそれでは終わらない。

一緒に居なくても、お互いに責任が伴う、彼女がどう考えていても、自分はそう思っている。

やっとだ、やっと彼女の連絡先が分かった、夫婦だったのにそれさえ知らないとは、夫婦とは愛情だけで結びついていた他人だったのだな。

いや、愛情さえも無かったのかも知れない、最初から彼女の中には何も無かったのか。

何も解らない、だからこそ彼女の連絡を待とう、さてメールをするか。

彼女へのメールには余り言葉は要らない、自分には言い訳をする事も何もない。

言葉が居るのは彼女の方だ。


久しぶりだね、君は出て行ったけど、これは離婚をしたいと云う事なのかい?

僕は良いが、君と連絡できなければ、如何するかは分からない、離婚したいのであれば手続きが必要だろう。

会いたくなければ会わなくてもいい、だけど離婚はする必要がある、君も会いたくもない奴と繋がって居たくも無いだろう。

それとも生活費は貰いたいから結婚は続けるのか?

弁護士を入れて協議するのもいい、俺の不倫が原因だと言うなら、証拠を出してくれたらいい、そんな証拠が有ればだけどな。

それから離婚という事になる、結婚して長くないから、財産分与も無いに等しい、離婚は早い方が良いだろう。

君の連絡を待っている。

勲より。


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