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【小説】SNSの悪夢

調停の初めての日は、これまでの経緯や、彼女との関係を話していく、調停は交互に調停員に話をする。

彼女も自分の事を何か言っているんだろうな、調停員が彼女と話して居る時には考えていた。

人間誰しも自分が悪いとは言わない、それは自分を守る為だから仕方が無い行為だ。

それでも、彼女の言葉が事実でないと証明できる。

彼女から金を貰おうなんて思ったことも無いが、責任は取って貰わなければ、自分の気が晴れない。

俺と弁護士は離婚をする事、名誉棄損で彼女を訴える事、証拠は彼女のSNSの投稿だ。

待っていると、彼女の代わりに部屋に入って下さいと、呼びに来て貰った。

さて、行こうか。

弁護士にはあまり話さない様に言われている、自分が感情的になって、失言するのを警戒しているのだろう。

それは解っているが、言いたい事は沢山ある、自分の方が被害者なのだから、男だからとか、夫だからと言われても、それには取り合えない。

弁護士がドアを叩くと、中からどうぞという声が聞こえる、調停がこんな風なのを知らなかった。

弁護士でもない限り、裁判所に慣れている人間は多くは無いから、自分の感覚は一般的なのだろう。

裁判で離婚する人も居るだろうが、調停で離婚する人の方が多いんだろうな。

そう考えながら部屋に入ると、男性と女性、2人の調停員が居た。

「どうぞ、お座りください。」と女性の方が椅子を勧めてくる。

自分と弁護士は勧められた椅子に腰を下ろす、見栄えは良いけど、チョット座りずらい椅子だ。

「今回は離婚の調停になるのですよね、ただ旦那様の方は奥さんにSNSで名誉を棄損されたから、その賠償も欲しいという事なんですよね。」女性の方が話す。

「そうです、結婚期間も短いし、奥さんへの財産分与は殆ど無いと言って良いと思っています、勝手に家を出たのも奥さんですしね、その上でSNSで不倫の誹謗中傷をしていたのが奥さんだと分かって居るので、その損害賠償はして貰いたいんです。」自分の代わりに弁護士が一気に言葉に出した。

調停員は2人で顔を見合せて、困った気分を醸し出している、彼女に何か言われたのだろう。

「旦那さんはそう言っているんですけど、奥様の方は違う話をしていたんですよ。」女性が返してくる。

「何が違ったんです?」思わず、自分で聞き返してみた、自分の考え以外の事実はない筈なのだ。

「奥さんは結婚してから、仕事が有ると言って口もきいてくれて居ないから、そこはモラハラだとおしゃっているんですよね。」

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