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【小説】SNSの悪夢


そうだよな、俺の顔なんて覚えてないよなー、自分で否定しといて凹んでいる。

カフェから出てずっと入り口を見張っている訳にはいかない、何処かで時間つぶして12時頃と終業時間にまた来るとするか。

外に出ると陽が降り注いでいる、外ってこんなに明るかったんだな、そう考えながら道を歩く。

この所の騒ぎで普通の感性を忘れていたらしい、そうか仕事やSNSを考えるのは大事だと思っていたけど、こんな風な感覚を忘れていた。

そりゃあ、仕事も無くなるわ、自戒を込めて考えてみた。

それでも今の状態を何とかしないと、自分で前には進めない、何もかも無くなって、あるのは自分の存在のみと言っても、その存在証明の為にも謝らせたい。

降り注ぐ光が木々の間から漏れてきて、平日の町に降り注いで、自分にも近くに居るカップルにも当たっている。

今の自分は時間だけは有るから、ゆっくり周りを見渡してみる、そうだった仕事の評判を気にする余り、周りの光景が見えなくなってたんだな。

そこに在るベンチに座って、人の動きを見ていた、ベビーカーを引いた女性やせかせかと歩くサラリーマン、ジェームスディーンは人を見て演技に取り入れてたって聞いている。

自分にはそんな時間が無かったから、人の動きや声を感じたりしなかった、いい機会だここで見ておこう。

ベンチで座っていると時間が長い、時々ビルの入り口を見ていると、昼になったのか、何人か連れだってサラリーマンが出てくる。

昨今は節約の為に弁当持って居る人間も多いが、出てきた男たちは何処かで食事をしようとしてるみたいだ。

あの男が居る、あいつも外食か、自分が売れるまでコンビニ弁当さえ買えなかったのを思い出す。

付いていってやろう、マスクを掛けなおして、少し離れた場所から、男の集まりを付けていく。

「何処行きましょうね?」若い男が先導して、声を掛けている。

「和食が良いな、ダイエットも考えないといけないし。」とあの男だ。

「和食は高い所が多いんですよね、てんぷらとか高いじゃないですか。」違う男が反論する。

「それに、杉山さん全然太ってないじゃないですか、がっつり食べても大丈夫でしょ。」若い人間が続ける。

『あいつは杉山なんていうんだろうな?』そう考えながら、付けてゆく、昼だからこっちも何か食べよう。

サラリーマンの塊は近くのレストランに入っていく、毎日外で食べるならこのくらいの値段が基準だよな、そんな値段のランチを提供してると、看板に書いてある。


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