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半年ごとの大デトックス│夏越しの大祓

清浄を最も大切なものとする神道では、祓(はらい)に始まり祓に終わるといわれます。神社で神主さんが、幣(ぬさ)を使ってお祓いをするところを見たことがある人も多いことでしょう。

熱心な信者でなくても、子どもが産まれたらお宮参りに行き、育つにつれて七五三のお参りをして、お正月には初詣をする。わたしたちの生活には、神社にお参りすることが根付いています。

でも、身近なようでいて、実はよく知らないことがたくさんありますね。今日は、「祓」について書いてみたいと思います。

祓いとは

祓いは「解除」とも書き、罪や穢(けがれ)を取り除いて身心を清めることで、多くは神事として行われます。

江戸時代の1714年(正徳4年)に刊行された神道辞典、『神道名目類聚抄(しんとうみょうもくるいじゅうしょう)』6巻によると、

祓の目的は、わがままや自我の欲などを取り去って本来の自己に立ち返り、不浄を清浄にして不完全なことを完全にし、不良を善良にすること。さらに災厄を除き、幸せと平和をもたらし、新しい生命の出現と発展を願うこと、となっています。


言い換えれば、祓いとは心身のデトックス。浄化をすることなのです(^O^)
祓うことで、それまでについたネガティブな要素がきれいになって、新たにスタートできるというのは、とてもシンプルでいいですね。


お祓いをしていただくと、清々しく気持ちの良い状態になるのは、浄化されたことを無意識でわかっているからだと思います。わたしたちの感覚は、思っている以上に鋭いものなので(^_-)-☆


それに、祓いの根底には、その人自身を悪いとする考えがないのが
わたしは大好きです。どんな人も尊い存在ですが、日々の生活のうちに生じた心のくもりを生じ、本来持つ神様の心、清い魂から遠くなってしまうため


その一時的についた穢れを祓えば、リセットして本来の魂に戻れる訳です!


また、穢れには「氣枯れ」の意味もあります。「氣」とは生命エネルギーのこと。天地自然の氣の流れと自分とのつながりが断たれてしまう、つまり本来の自分でなくなると生命力が低下して、「氣」が枯れてしまう訳です。


穢れを祓うことは、「氣枯れ」の状態から「氣」が十分にある本来の状態に戻して生命力に満ち溢れて元気になるという意味もあります。「穢れ」というと悪いイメージがある中で、個人的にはこの生命力を回復させるという考え方も好きです(^^)

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日本には、季節の節目となる節句に季節湯で身を清め、浄化する風習があります。端午の節句のしょうぶ湯はよく知られていますね。また、節句の元々の目的は、季節に応じた植物を食することで邪気を払うことでした。

神社の儀式だけでなく、邪気や穢れを祓うことが生活に定着していたことがわかります。昔の人の知恵はすばらしく、末永く受け継いでいきたい伝統だと思います。


最近行われている断捨離や心のブロック解除なども、余分なものを捨てて本来の自分に戻るという意味では同じことだといえますね。

半年に一度の大祓

神社では、6月末と12月末に大祓(おおはらえ)式が行われます。この行事は、『古事記』『日本書紀』に記されている神話が起源だとされています。

イザナギノミコトは、亡くなった愛妻のイザナミノミコトを追って黄泉の国に行きます。見てはいけないという禁を破って、イザナミノミコトの変わり果てた姿を見たイザナギノミコトは逃げ帰りました。そのとき黄泉の国の穢を清めるために、イザナギノミコトは筑紫の日向(ひむか)の橘の小戸の檍原(あはぎはら)で禊祓(みそぎはらえ)をした。


ちなみに、このときの禊祓で生まれたのが、今でもよく知られているアマテラスオオミカミ、ツクヨミノミコト、スサノオノミコトでした。


宮中においても、701年(大宝元年)の大宝律令で年中行事として定められたのがはじまりで、朱雀門の前で大祓が行われていたそうです。中世以降は各神社で年中行事の一つとして普及しています。

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大祓が近づくと、神社に茅の輪が出るので、見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。これをくぐるだけでお祓いになるとは、古代の人の知恵はすばらしいですね~!


大祓式は熱心な氏子さんだけが参列する時期もありましたが、近年、神社めぐりをする人が増えて関心が高まるにつれ、再び注目されるようになっています。ただし、今年はコロナの感染予防のために、大祓式を神職のみで行う神社が多く、一般の人は残念ながら、式には参列できないようです。


一般の人が参列できない代案として、神田明神は、6月30日14時45分〜に大祓式の様子をライブ中継するそうです。式をご覧になりたい方は、神社のホームページをチェックしてみてくださいね。後日、録画も見られるとのことです。


夏越しの大祓

6月30日に行われる大祓を夏越しの大祓と呼びます。


大祓の目的は、暮らしているうちに、特に悪いことをしなくてもついてしまう心身の穢れや災厄の原因となる諸々の罪、過ちを祓い清めること。


つまり、半年に一度、大デトックスをすることで心身ともにすっきりして、新たにスタートしようという訳です。何ともありがたい行事ではありませんか。


このときに、一般のわたしたちも参加できるのが、茅の輪くぐりと形代(かたしろ)奉納※。長くなってしまったので、これについては次回書くことにしたいと思います。

※今年は例外ですが、例年は一般の人も大祓式に参加できる神社が大半です。


お読みいただいて、ありがとうございます。これを励みに、あなたの優しいお心が一人でも多くの方の幸せにつながるように活動を続けていきます。