【舞台】『セーラームーン』は何度でもよみがえる

乃木坂46版ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』Team MOON公演を観劇して感激しました。セラミュは何度でも復活する。セラミュは永遠に終わらない。

客席にはやはり乃木坂ファンと思われる男性が多かったけれど、これは往年のセラミュファン、漫画ファン、アニメファンにこそ見てほしい!私みたいになんとなくしか知らない人にも見てほしい!と思ったので感想を書きました。もう公演あんまりないけど…。

よかったポイントは「これぞセーラームーン!」「これでこそセラミュ!」と思わせる要素がてんこ盛りだったこと。そのうちの3つを簡単にまとめてます。ネタバレを含みます。

☆その① オリジナル準拠のストーリー展開
今回の作品では、うさぎちゃんがルナと出会い、セーラームーンになり、仲間を集めてクイン・ベリルと対決するところまでを描いています。キャストにぐりおやなるちゃんの名前があったので予想はしていたんだけど、まさかここまでオリジナルに忠実なストーリー展開をするとは!と驚いた。

私はアニメ無印はリアルタイムでは記憶がないのですが、VHSを繰り返し見ていたので、うわーこのシーン、見た!!の連続。懐かしさもあるし、これまで多かった「外伝」「後日談」ではなく、「本編」を、25年もの時を経たいま「生の舞台」で見られるという感動は、セーラームーンを見て育った世代としてもはや言葉では表せない。

見どころについて「変身シーンはすごいです!」とコメントしているキャストさんが多かったのにも納得。今の映像技術だからできる、まるでアニメを見ているかのような変身シーンは鳥肌が立ちました。

☆その② そのキャラらしい魅力いっぱいの女の子たち
申し訳ないことにキャストさんたちをよく知らないので、素なのか演技なのか定かでないんだけど、Team MOONのうさぎちゃん役、ちょっと媚びた声とか、ぼけた声とか、泣き声とか、声がひたすらうさぎっぽい!三石琴乃さんに声が似てるわけではなく、それでもリズムというか抑揚というか、うわ~うさぎちゃんだ!って思った。

嬉しかったのはセーラーヴィーナスがセーラー戦士のリーダーとして大活躍してたこと!ストーリー上なかなか登場しなくてさみしかったけど、リーダーとしてプリンセスを守ろうとする美奈子ちゃんは、最高にかっこよかった!「リーダー」っていう設定は多くの人に忘れ去られてるだろうから余計に。

あと私の世代だとクイン・ベリル役が玉置成実さんなのも感激!アニメ放映当時、セーラームーンたちは憧れの存在だったけど、私がリアルに「14歳の少女」だった頃はガンダムSEEDにハマっていて玉置成実さんめちゃくちゃ聞いてた!クイン・ベリルとタキシード仮面様の見た目年齢というか役者さんの年齢が近いので、「おばさんが若い男に言い寄ってる図」ではなく、2人にロマンスを感じられたのもよかった。

そのほかの女の子たちももちろんかわいいんだけど、私としてはやはり「男役の女性キャスト」のほうが目当て。四天王のみなさん、歌もうまいしかっこいいしかっこよかった~!

そしてそして、タキシード仮面様は去年までのセラミュでセーラープルートを演じていて、ビジュアルNo.1好みだった石井美絵子さん。もうめちゃくちゃかっこよかった!初代の佐野瑞樹くんも声優の古谷徹さんもそうなんだけど、タキシード仮面様って「男らしい」より麗しい、美しいっていうイメージなので、男性キャストより男役の女性のほうがハマると思っていて。立ち姿からマントのさばき方まで最高にときめきました。

地場衛さんはちゃんと高校生らしい高校生だったので、いたずら好きな少年らしさもあり、自分の過去を探しさまよう危うさもあり、うさぎちゃんを想う大人の深い愛情も見えて…。ここまでタキシード仮面様の内面にときめいたのは初めてだった。あーかっこいい。かっこよすぎる。自分のことじゃないのに「うさこ」とか「おだんご頭」とか呼ばれると心臓がはねる。キャスティングしてくれた人ありがとう。

☆その③ セーラームーン、セラミュの代名詞の楽曲
セラミュには長い歴史があり、1993~2005年はバンダイが、2013~2017年はネルケプランニングが制作していました。今回の乃木坂版も制作はネルケ。当然、ネルケ版セラミュではバンダイ版セラミュで大人気だった「ラ・ソルジャー」などの楽曲が使われておらず。ちなみにバンダイ版はそのほかの楽曲もすべて小坂明子さんという方が作曲されている。セラミュファンからすると神様みたいな方ですね。

バンダイ版初演ファンの私は、いつか「ラ・ソルジャー」をまた聞きたいとずっと思っていた。セーラームーン25周年コンサート的なものでは演奏されているんだけど、ミュージカルで聞くということが大事なわけで。

それが今回、お芝居が終わったあとのライブパートで「ラ・ソルジャー」を!!!!歌った!!!多少のアレンジはされているものの、間違いなく「ラ・ソルジャー」!!!私が25年間だいすきだったあの名曲!!!「ラ・ソルジャー」を歌って踊るセーラー戦士を見て、文字通り泣いた…。鳥肌が立って、胸がいっぱいで。この曲がどれほど素晴らしいかを改めて感じました。これこそセーラームーン。これこそセラミュ。

「ラ・ソルジャー」はフランス語で戦士を意味する。バンダイ版セラミュは他にもフランス語を多様していて、そのおしゃれな雰囲気が乙女心に刺さったんだよね。一部歌詞を引用すると

これ以上ムリよ 待てないわ スレスレで終わらせないで
あなたのすべて欲しい

やたら色っぽいんですよね、セーラームーンっておしゃれなの。

また逢える次回(つぎ)が明日でも
二百年後(のち)でも同じ運命(さだめ)が迎えにくる

めぐりめぐるロマンの中 恋はいつでも戦いね

つらい!セーラー戦士つらい!!!
人が人を愛する限り憎しみは生まれ続けるし、彼女たちは立ち向かい続ける。迷ったり悩んだり、くよくよしたりもするし、普通の女の子だから怖くなって逃げ出したくもなることもあるけど、普通の女の子だから、これが好き!あれがしたい!友達と、恋人と一緒にいたい!っていうハッピーな気持ちをいつでも持ってて、それが彼女たちの背中を押してる。

☆セーラームーンが描く「強い愛」の物語
「ラ・ソルジャー」はアニメ版のOPEDではないけど、曲調も歌詞もまさにセーラームーンらしさを詰め込んだ楽曲だと思う。

セーラームーンって絵柄もちょっとエッチというか、セクシーだったんだよね。セーラームーンが多くの女の子たちにウケて、少女たちが大人になってからも人気であり続けているのは、そういうビジュアルイメージが魅力的だったこともあるし、ただの勧善懲悪ではなく、大人にも通用する恋とか愛とかっていうものが土台にあったからだろうな、と。

「セーラームーンらしいセラミュ」を丁寧につくりあげたことで、「愛と正義の美少女戦士」が「愛と正義の美少女戦士」たる理由――つまり、彼女たちはなぜ戦うのか、なぜ傷ついても何度でも立ち上がれるのか、そこにあるのは「正義」だけでなく「愛」だっていうことが、ストレートに伝わってくる。男とか女とか時代とか関係なく、ただ自分の愛する人たちを守るために戦うっていう、シンプルで強いセーラー戦士たちの魅力を存分に味あわせてもらえた。

うさぎちゃんの魅力的な人柄と、セーラー戦士たちが彼女を慕う理由がきちんと描かれているから、5人の絆、お互いを想う気持ち、そしてまもちゃんとうさぎの関係がすごくリアルで、本当にそこにある物語になってる。

四天王とセーラー戦士の前世からの恋の物語は、大人になった今だから余計に切ない。四天王はプリンスを、セーラー戦士はプリンセスを、今度は守ることができたんだけど、生まれ変わってもそれぞれの愛する恋人と「生きる」ことはできなかったんだよね…。セーラー戦士たちはまた「愛する人を救えなかった」ことを背負って生きていくんだ…。このあたりは頭の中で「タキシード・ミラージュ」をひたすら鬼リピした(ちなみにこの曲も小坂明子さん作曲!)。

☆セーラームーンは永遠に終わらない
セーラームーンって、ドラゴンボールとは少し違うものの、物語のなかでも何度も生まれ変わったりよみがえったりをしています。そして作品としても、漫画から始まりアニメ、ドラマ、舞台となって、アニメや舞台も何度も生まれ変わってきた。2005年にバンダイ版が終焉を迎えてから2013年にネルケ版で復活したときのサブタイトルも「ラ・レコンキスタ」つまり「復活」だったり。

今回の乃木坂版も「オリジナルに忠実」とは思ったけど、漫画の要素、アニメの要素がある意味では「ごちゃまぜ」になっているのは事実で、セーラームーンっていう、シンプルな「愛と正義のために戦う美少女」っていうコンセプトさえあれば、物語はいくらでも作り出すことができるんだろうと思う。それが「原作」の強さなんだと思う。

セーラームーンたちが時を超えて戦い続けるように、セーラームーンという作品もまた時代を超えて、私たちはセーラームーンという作品に「何度も巡り会い」、「現在・過去・未来」いつでも「首ったけ」になる。今回のミュージカルのラストもまた「見たことある~!」という終わり方だったので…また来年に期待!


これは余談なんだけど、アニメのセーラームーンのOPEDでじつは一番っていうくらい好きなのが「私たちになりたくて」なんだよね。この作詞が秋元康。あのおっさんがあの歌詞を書いたのかと思うとぞっとする。と同時に、やっぱり天才だなあとも思う。

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