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43年ぶりに、イラク代表サッカーチームが自国で試合できた日のこと。第25回アラビアンガルフカップを支えた地元バスラウィの優しいおもてなし。

想像してください。


自国で試合する事を許されなかったナショナルチームがあることを。

長い年月を経て、自国での試合ができた日のことを。

国民はどれほどに歓喜し、興奮し、そして安堵したことでしょう。

第25回アラブ ガルフカップが、2023年1月6日にイラク南部の港町バスラで開幕しました。


サッカー、イラク代表チーム(メソポタミア ライオン)は、オマーンと共に決勝戦に進出。ドラマチックな攻防の末3-2でチャンピオンになりました。でも、イラク人にとっては、自国で開催できたこと自体が大きな喜びでした。


国代表が自国で試合をする、そんな当たり前なことが、1979年以降初、2023年の今、ようやく叶ったのですから。


人々は言いました。世界に見てもらいたい、港町バスラを、イラクという国のことを。



開催地バスラはイラク南部に位置します。

チグリス川、ユーフラテス川の両河川が流れ入るシャットルアラブ川沿いの街。メソポタミアの豊かな恵みが溢れる大地。


豊かさ故、また地理的に重要な港町であるが故に、度々戦火を浴びてきました。度重なる戦争に、経済制裁。歴史的にみても、人々の暮らしが苦しいものであった事は容易に想像がつきます。


20数年自国の土を踏んでいない夫。最初はガルフカップ開催地としての役割を果たせるのかと懐疑的でした。どんな様子を国際社会に見せるのか?


期待と不安が入り混じる中、我が家はUAEのローカルテレビでアラビアンガルフカップ特集番組を見つめていました。


連日の報道の中で興味深かく人々の心を掴んだのは、試合の勝敗よりも、町の人々の姿でした。


バスラウィ(バスラの人々)の心尽くしのおもてなし

ある湾岸諸国の旅人はインタビューを受け驚きを表しました。「バスラに来たのは初めてですが、こんなにも、歓迎を受けるのも初めてです。バスラに来てから、まだコインの一枚も使っていないのです」


コインを使ってない?どういうこと?

タクシーに乗れば「あなたは何処からきた?UAE?それは、よく来てくれた。お客さんから、お代は受け取れない!せっかく来てくれたんだから」

と話していました。


レストランでも、街角でチャイを売る紅茶売りでさえ、「お金は受け取れないよ」と、旅人をもてなしたのです。

街門では、湾岸諸国の旅人を見れば人が集まってきます。「ホテルに泊まるって?何言ってるんだ、せっかく来てくれたんだから、我が家でくつろいでいったらいい。」と3日3晩のおもてなし。

またある所では、旅人が気軽に休息がとれる様にと休憩所が作られました。旅人は無料で利用できます。街の人達の好意で振る舞われたランチは、お盆山盛りビリヤーニのおもてなし料理。それが会場いっぱいに並び、湾岸諸国の旅人、地元の人達が一緒に同じ釜の飯を楽しみました。



アラブでは旅人には優しくするよう、3日間は何も聞かずに自宅に泊ってもらってもてなすように、と昔からの教えがあります。

しかし


時は2023年、どこの誰か分からない人を自宅で3日間おもてなしするって、言うは易し行うは難し。


それをしたのが、バスラウィ達です。



在イラク アメリカ大使のTwitterでも、バスラウィのおもてなしについて明記されていました。


世界中に暮らす、
様々な境遇の、
イラクをルーツに持つ人達が、
色んな気持ちで、
アラビアンガルフカップを見つめていたはずです。


祖国への想いを抱きながら。



日本の皆さんに、ぜひ伝えたいのは、今回のアラビアン ガルフカップが失敗だけではなかったということです。バスラウィの心意気、イラクの豊かさについては、ぜひとも汲み取って頂きたいと切に願います。


Mabrook Mesopotamian Lions ! 
Shukran , Basrawi ! 



https://arab.news/bqzqn

https://www.thenationalnews.com/sport/football/2023/01/07/arabian-gulf-cup-2023-where-is-it-whos-playing-and-how-to-watch-in-the-uae/

https://agcff.com/en/8810/