心を彩る12文字
日本人がひと息に発することが出来る音節数は、12文字から15文字だそうです。
余裕をもってきちんと発音できるのは12音であると『日本詩歌のリズム』に記述されています。
12文字?!
俳句や短歌、川柳は、5字の語句と7字語句の音の組み合わせ。それに珠玉の言葉をのせ、その音韻の調べを愉しむもの。
足せば12文字!
清少納言の枕草子や平家物語を想起すれば、これも7字語句と5字語句の言葉が多用されています。
「春はあけぼの」→7字
「祇園精舎の鐘の声」→12字
音を拾っていくと沢山ありました!
これは偶然??
小学生の時はクラス全員で、「平家物語」や「初恋(島崎藤村)」等を斉読しました。
まだあげ染めし前髪の林檎のもとに見えし時前にさしたる花櫛の、、
祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり、、
これも数えてみれば5文字7文字12文字の組み合わせが多々!!
リズムよく声に出して愉しめます。
古来、稗田阿礼から古事記を口伝したこと。紙は貴重品であったこと。平家物語は琵琶法師の弾き語りで伝えていたこと、、
昔の人は、日本語を発声からもよく知り尽くしていたのでしょう。
口承文化が発達してきた証左でしょうか。
口承文化は日本に限らず、イギリスではシェークスピア、フランスではラシーヌ等を学校教育で暗誦しているそうです。洗練された、力あることばが、心を豊かにすることを知っているのです。
高校生のとき、好きな人の後ろを歩いていたら
前述した「初恋」が心に響いてきました。
『林檎畑の樹の下に
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ』
訳せば、、
リンゴ畑の樹の下に
自然とできた細道は
誰が通って出来たのかなと
尋ねてくるあなたが愛おしい でしょうか
彼とリンゴの樹のある生茂った細道を歩いた訳ではないのですが
この気持ち 初恋なんだな、、なんて、くすぐったくおもったことを覚えています。
食べすぎた翌日のスーパーで
せり なずな ごぎょう はこべらほとけのざ すずな すずしろ(春の七草)
子どもと布団を並べて
銀も 金も 玉も 何せむに 勝れる宝 子に及かめやも(山上憶良)
心に根付いたことばは、ときに糧になり、ときにパレットになって彩り、ときに師になって私と一緒に生きてきました。
最近は、活字を見る時間は増えてきたけれど、声に出してことばを音韻ごと愉しむことをしていませんでした。
今頃とおもうけれど、今だからこそ
息を吸って、12文字 声に出してみようかなと思います。
読んでくださり、ありがとうございました。これからも宜しくお願い致します。
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