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トーキョーが好き

トーキョーが好きだ。

人との関係が崩れた時、新宿駅東口に飲まれるように向かうと大勢の人が一切自分に関心を寄せずにそれぞれが行きたい方向に行くのを味わって、妙に癒された。だれもわたしを見ない。そんな安心感があった。サザンテラス口の少し落ち着いた感じも、西口のざわつきも好きだった。

西荻窪にある小さなカフェに行くと、おじさんがニコニコしながら「今日はカフェラテとチーズケーキが絶対にいいよ」とお高いセットを勧め、「おれはベイスターズが好きでね、すごい弱いけどね」と好き勝手に語り、「お姉ちゃん疲れてるでしょ、なんかあったんでしょ」と踏み込んでこられるのにも癒されていた。

代々木八幡にあったギャラリーには、小さな雑貨が所狭しと並んでいて、 これは一体だれが買うのかという謎の品ばかりだった。店の奥からお姉さんがひょっこり現れて、なぜか商品説明せずにフリマブースで販売していたボーイズラブ漫画がいかに素晴らしいかを語りわたしにボーイズラブ漫画を無償で託した。道道読んだそれは、とても切ない物語だった。

初めて原宿に訪れた時、都会的で大規模な古着屋さんに圧倒され、小規模で個性的で音楽がガンガン鳴る古着屋さんに度肝を抜かれた。それまで古着屋さんとはリサイクルショップみたいなものだと思ってたと思う。そこで売られるどの服もとてもきこなせる自信はなかったし、のけぞるような値段だったけど、見たり触ったりしてるだけでワクワクした。

お台場のモノレールに乗りながら眺める景色が好きで、異世界に飛んで行くみたいだった。夕暮れ時のお台場は切なくて、船の科学館もフジテレビもビッグサイトも一気にしっとりとして物悲しくなる。暗くなると突如ギラギラしだすんだけど、夕暮れ時はなんだかちょうどよい雰囲気なのが好きで、ぼんやり外を眺めた。

トーキョーが好きだ。

だから、東京でも関西に来てからも「東京は疲れる」で括られてしまうことが多くてちょっと悲しい。地方出身者のほうが多く構成されるはずのこの街で、自分の思い描く東京人を演じているような人も見かけてシュンとしてしまう。たしかに疲れることもあるんだけど、わたしはこの街にある無関心さと関心の強さと多様性が、とても好きなんだ。

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