『田辺聖子 十八歳の日の記録』がめちゃおもしろかった話
『田辺聖子 十八歳の日の記録』が凄まじくよい本だった…!
個人的には2023年のベスト本!!!!(はやい)
田辺聖子さんというと30代のわたしにとっては、『ジョゼと虎と魚たち』や源氏物語など古典解説のイメージがある。でも田辺聖子さんご本人のことはまったく知らない。
2019年に91歳でお亡くなりになられたあと、ご本人の日記が見つかり、ご親戚がこれは世に残すべきだと判断して出版された本だそうだ。
この本に掲載されているのは、1945年から47年の、戦中から戦後の激動期に、10代最後の時期をすごした聖子さんの日々の記録である。
この本のおもしろいところ①背徳感
親族の方が後世に残すべきだと思われた貴重な文章か〜と思って読むとなかなかにとんでもない。ふつうに愚痴とか友達への悪口とかも書いてある。
たしかに大阪の大空襲の様子や、学徒動員でのこと、終戦日のことが生々しく書いてあって歴史的に貴重な資料だ。でも一方で、延々と「Oさん」への苛立ちを書いている箇所もある(Oさんはご存命なのかわからんけど、ご親類とかはいるんじゃないのか?)
死後に、ご本人の許可なく、いいんかこれ!?と思いながら、「まあ枕草子だってこのくらいの悪口は言ってるか」と思い直して読み進めることにする。Oさんだって、きっと時効だろう。しらんけど。読んではいけないものを読んでるような背徳感にかられるのがこの本のおもしろいところ。
※ちなみに、たぶん本人にとってはつらかったんだろうけど、猫に鮭缶を食べられて泣いているシーンはあまりの文章力のすさまじさとのギャップに笑ってしまった。ごめん。「お魚加えたドラ猫」って本当に当時あったんだね…。
この本のおもしろいところ②「戦中」の温度差
田辺聖子さんの住んでいた家は、1945年6月1日に起きた第2回大阪大空襲で焼け、なくなってしまう。
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