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2/1 千葉ツーリング その2

東京湾を横断している。

アクアラインがなかった頃は
東京を抜けてぐるっと沿岸を走るか
フェリーに乗るしかなかった千葉。

ETCを使うと640円で通れた。
なんて安いんだろう。

短縮された時間を思うと
値下げされた料金をありがたく思う。
(ETCじゃないと2,510円かかる)

料金所を過ぎるとほとんど車はいない。

首都高より車線が広く感じる。
周りの景色のせいだろうか。


千葉の空は広い。なぜだろう。

山がなく平らだから?
高い建物が少ないから?

高速の周りに広がる景色も広々している。

嬉しくなってアクセルを開けてみた。

バイクがグンと加速する。
同時に、ヒューと風切り音が増した。

体がぐっと後ろに押される。
風とのおしくらまんじゅうが始まった。


年末、定期点検に行った時
「たまには回して走ってあげてくださいね」
と言われた。

いつも手が痛くならないように
高速では6速まで上げて
アクセルをたくさん回さなくてもいいように
つまり、回転数を下げて走っていた。

回転数を下げていると
バイクの動きは緩慢になる。

アクセルを開けても敏感に加速しないし
アクセルを閉じても
強くエンジンブレーキがかからない。

6速で高速を走る時の回転数は
7,000回転くらいだろうか。

この回転数までは大人しい。
まったり走るならこの回転数までがいい。

でも本当は14,000回転まである。
実は7,000だと半分だ。

半分しか性能を使っていない。
半分しか性能を発揮していない。


バイクに乗る時思うこと

それは

(バイクが)楽しく走れているか?


縁あってうちに来たけれど
行った先によっては
もっと性能を発揮してもらえて
もっとキビキビと速く
上手く操作してもらえるかもしれない。

行った先の運転者が上手くないせいで
本来持っている力を発揮できずに
「つまんないなぁ」と思いながら
走っていることはないのか。


バイクはいつだって話しかけてくる。

「今、上手く曲がれたよね!」
「ほら、いい加速したでしょ?」
「このシフトアップ最高じゃない!!」


バイクはタイヤにかける力のかけ具合で
乗り味や動きが変わる。

よくバイク乗りは
「タイヤの食いつき」って言うかなぁ。

トラクションとも言う。

地面をつかむことで生み出される推進力

ってネットに書いてあった。


バイクをより安全に楽しく走らせるには
「タイヤを地面に食わせる」しかない。

摩擦を多くするって言ったらいいのかなぁ。
地面に押し付ける力を増やすと
タイヤは粘って地面によくくっつく。

そうすると滑らないから
より安全に走ることもできるし
前に進む力も増す。

スキーやスケートに例えたらいいかなぁ。

エッジをかけないと
踏ん張る足が後ろに下がるでしょ?

タイヤの食いつきはエッジみたいなものだ
と思えばいいんじゃないかな。

普通エッジは足の向きを変えて
進行方向に対して斜めにずらして
力をかけるよね。

バイクは後輪の向きを変えて
進行方向に対して斜めにずらせないから
地面との接地面圧を上げて
摩擦力を増やす。

面圧は加速と減速で増やせる。
加速すると体が後ろに下がるでしょ?
その力が後輪に伝わって
タイヤがしっかり地面を蹴る。

より加速するし、カーブ中は滑りにくくなる。
だから、カーブでは
アクセルは開けるか閉めるかで
閉めたままはダメなんだ。

アクセルを戻すと減速して体は前に行く。
その力を前輪に伝える。

すると、前輪は面圧が上がって
滑りにくくなる。

前輪ブレーキを握っても同じ現象が起きる。

その滑りにくさを利用して
カーブギリギリまでアクセルを開けておいて
ブレーキングポイントで
アクセル全閉と同時にフルブレーキする。
(多分4ストロークエンジンは違うと思う)

前輪一本でバイクも体も支えている。
そこから後輪に力を移していく。

そのきっかけを人が作る。
その方法は様々だ。


また、タイヤは温めると柔らかくなり
より地面に食いつくようになる。

そのため、サーキットでは
タイヤを温めるという作業もする。

タイヤウォーマーという
タイヤをおおって温める
電気毛布みたいなのもあるけど

外して走ったら
風にさらされて冷えていくので
冷めないようにタイヤを温めないといけない。

タイヤはゴムを動かすと温まる。
つまり、圧をかけてゴムを動かす。

サーキットでは
こうやってバイクの性能を
最大限に引き出すために
色んな工夫をして走っている。


一般道も同じだ。

7,000回転と言っても
バイクによっては
ほぼレッドゾーンのものもある。

エンジンの仕組みによって
エンジンの回り方は違う。

わたしのバイクは高回転型で
14,000回転まで回る。

かなり回る方だ。
だから、7,000回転では足りない。
そういうことだ。

あまり回さないと
くすぶった燃えかすが
エンジン内にたまってくる。

回転数を上げて(燃えかすを)よく焼いて
焼いたものを排気ガスとして
外に出すことができる(らしい)。

だから、高速でたまに
回転数を上げて走ってあげてくださいね
ということみたいだ。

2ストロークエンジンでは
回転数を下げたまま走るとかぶってしまうので
まったり走ったことがなかった。

4ストはまったり走ればいいのか
と思っていたけど
そういうわけでもないらしい。

そういうわけで
エンジン内のお掃除と称して
アクアラインの橋の上で
2速でアクセルを開けていた。

前の車にだんだん近づくくらいの加速で
回転数だけが上がっていく。

8,000、9,000、10,000…
これは面白い。

それで続きをアクアラインを降りた後
高速でやることにしたわけだ。


3速で試す。

10,000回転を超えると白いライトがついた。

昔、エンジンの慣らしをやっていた時に
ライトがついたことを思い出した。


そうだ。このライト、数が増えるんだった。


アクセルを開けると次のライトがついた。
そのままさらに開けていくと
3つ目、4つ目、5つめがついた。

そして12,000回転で5つが合わせて
点滅を始めた。

取説読んでないけど
きっとここでシフトアップしろってサインだ!

前にも思ったことをまた思う。
そうだった。ここでシフトアップ。

つまり、このバイクは
12,000回転で次のギアに変えるといいってこと。

この時のスピードが130km/h。

スピードオーバーだ。
高速道路の人、ごめんなさい。

シフトアップはしないで、アクセスを戻す。
覆面がいないか、後ろを見る。

大丈夫そうだ。

左車線遠くに車がいる。
もう一度、加速。

10,000、11,000、12,000…

タコメーター(回転数を見る計器)と
白いライト、スピードメーターの数字を見る。

また130の数字。
何回か試すが、いつも130だ。


楽しい!

バイクが少しのアクセル開度で
敏感に反応して加速するのが楽しい。


アクセルを戻すと
大きなエンジンブレーキがかかる。
前輪に荷重がかかる。

アクセルを開ける。
後輪に荷重が移動する。

シーソーみたいだ。

3速で何度か試しているうちに
トラックに近づいてきた。

右車線に移り、抜きながらもう一度加速。

12,000回転でオートシフターを使う。
クラッチを握らないで
アクセルを開けたままシフトアップ。

バイクはさらに加速し始める。
回転数は10,000回転近くまで落ちた。

4速でアクセルを開けようとしたが
右車線にも車が見えてきてしまった。


左車線に戻る。

サーキットで走るとしたら
こんな感じなのか。

かなり心拍数が上がっている。
楽しいが、緊張も増す。

ミニバイクよりスピードが出る。
車体も重く、体の使い方も異なる。

転べば吹っ飛ぶだろう。
それでもサーキットで走ってみたいのか。


直線でこのドキドキ感では…


こかしても(転んでも)いい
バイクが傷ついてもいい

と思える覚悟ができなければ。

転ばないという想定はない。
そこまでして得たい何かはあるのか。


直線で200km/hを出す高揚感
高速コーナーで遠心力と遊ぶ浮遊感



どうしようかなぁ


ふと周りに目がいった。

広い空、目の前に続く道路、周りの景色が
明るくまぶしいくらいの陽射しに包まれている。


ふっと高揚感が静まった。


今は冬の千葉。
木更津東の文字が見える。

これから走る道を思い
高速道路の出口に向かった。





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