強い女にも、お姫様にもならなくていい。ただ、空気にだけはなるな。
強い女にも、お姫様にもなれないので、私は至って平凡…より少し劣った女。
強い女にも、お姫様にもなりたいと思えないので、私は日常をたゆたう、平穏な日々を好む、ただの女。
自分が何者なのか、いまだ見定められないのだけれど、平凡より少し劣る女の私が、私は嫌いではないのである。
子供の頃は、そりゃあお姫様願望はあったけれど、自分がそのステージに立てないであろうと早々に悟ったので、強かであろうとした。
でも、やっぱりそんなに強靭な心も体も持ち合せていなかったので、
周りに同化した空気みたいになったら、色んな人が私と居て心地よいって言うようになった。それが私。
人が望むことを言えるようなできるような女になって、でもそれだと碌な人間が寄ってこなくなったから、少しお休みした。
そして何者にもなりそこなった女に落ち着いてしまった。私は私が目を凝らしてみても正体がよくわからないのだ。
空気は読まなくてよかったし、なにより空気になってはいけないのだ。
何故かって言うと、空気のような人間も、その人間としての主人公という役割があるからだ。
他人に全てを捧げる人生は、間違いではないのかもしれないが、主人公にとっては毒の沼に侵された体で走り抜ける冒険のようなものだ。
それはじわじわ回る毒の呪いなのだ。空気になってはいけないよ。息はするもの。
一度空気になると、空気ではない立体の一個としての自分であることが怖くなる。
意見を求められて同調以外ができなくなる。自分がないのだ。長い事他人の空気をやってきたから。
だから私の輪郭は光に融け、ぼやけている。いま、輪郭を取り戻してる最中。なんでこんな簡単な事ができないのだろう。
自分の意思を持てばいいのだ。解放すればいいのだ。しかし長い事空気をやって来た私にはそれがとかく難しい。
輪郭をなぞってもそれはまた空気のように手触りはなく頼りない。
全ての女の子に言いたい。空気にはなるな。輪郭を持て。強い女にも、お姫様にも、ならなくていいから。
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